北朝鮮のミサイル迎撃に使われるPAC-3。その配備場所、撃墜の効果とは

patriot

北朝鮮の弾道ミサイル発射で注目されているのがPAC3。弾道ミサイルを撃ち落とすためのミサイルです。

PAC3とはどんなミサイルなんでしょうか?どこに配備されていて、どの程度効果があるのでしょうか。

気になったので調べてみると意外と日本は手薄な事が判明。どうやらPAC3だけで日本を守るのは無理みたいです。

ではなぜPAC3があるのでしょうか?意外と知られていないPAC3の現状についてお話します。

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PAC3とは

パトリオット

パトリオットミサイルとは

もともとの名前は「MIM-104 Patriot」。

英語の「patroot」の発音は「ペイトリオット」に近いです。そのため自衛隊の資料では「ペトリオット」と表現しています。 英語の「patriot」には「愛国者」の意味があります。

報道ではローマ字式の発音で「パトリオット」と呼ぶことが多いのでパトリオットの方が有名です。この記事でもパトリオットと書きます。

もともとパトリオットはアメリカ軍が開発したミサイルでした。

アメリカ軍が基地や地上の重要な場所を飛行機の攻撃から守るために作った迎撃ミサイルです。最初はミサイル撃墜が目的ではありませんでした。

PAC-3はパトリオットの改良型

その後、性能を良くするために改良されました。それがPAC-1です。

PACは「Patriot Advanced Capability」の略。

直訳すると「パトリオット先進能力」。パトリオットの改良型という意味です。

やがて飛行機だけでなくてミサイルも撃墜しなければいけなくなりました。そのための改良型がPAC-2です。

湾岸戦争で有名になったパトリオット

パトリオットが有名になったのは1990年の湾岸戦争でした。

イラクのスカッドミサイルを撃ち落とすために、アメリカ軍がイスラエルに配備したのです。このとき使ったのが当時最新型だったPAC-2。

でもスカッドが相手だと命中率と破壊力が悪かったのでさらに改良されることになりました。

PAC-3の誕生

そこで改良したのがPAC-3です。PAC-2から命中率と破壊力がパワーアップしています。

もともとアメリカ軍は弾道ミサイル撃墜のためにERINTミサイルを開発していました。ERINTミサイルをパトリオットのランチャー(発射装置)に入れたのがPAC-3です。

PAC-2とPAC-3では発射装置の外観は同じですが、中に入ってるミサイルは全くの別物なんですね。

PAC-3というのはミサイルそのもの名前。でもミサイルの弾だけあっても使えません。実際にはレーダーや通信装置を含めた沢山の設備が必要です。パトリオットシステム全体では「PAC-3/Config.3」といいます。

世界中で使われているパトリオット

パトリオットシリーズはアメリカ軍が開発したミサイルです。現在ではアメリカの同盟国や友好国で使われています。

アジアでは日本、韓国、台湾。
ヨーロッパではドイツ、オランダ、スペイン、ギリシャ。
中東ではイスラエル、クウェート、カタール、ヨルダン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦
などの国が使っています。

日本国内のPAC3配備

パトリオットは日本では1989年(平成元年)から導入されました。航空図自衛隊が使っています。

ミサイルをあつかうのは「高射部隊」という部隊です。航空図自衛隊といっても飛行機を飛ばすだけではないんです。もともとは日本にやってくる飛行機を撃ち落とすための部隊です。現在ではミサイルから日本を守る役目もあります。

自衛隊のパトリオットは最初はPAC-2でしたが、その後、PAC-3に改良されています。

ミサイル撃墜は大気圏内

PAC-3が狙うミサイルは地上に落ちる直前のミサイルです。
直前と言っても地上から10kmの高さなんですよ。富士山3個分の高さのところで撃墜できるんですね。地上ギリギリで撃墜しても意味がないので、できるだけ高いところで撃墜します。

弾道ミサイルは発射されるとロケットのように宇宙に向かって飛んでいきます。一度、宇宙に出て大気圏に再突入するんですね。

PAC-3は大気圏に再突入したあとを狙います。射程が短いので宇宙まで届かないんです。

ちなみに、イージス艦は宇宙空間で撃墜できます。

全国をカバーできないPAC3

24箇所の基地にパトリオットを装備した高射部隊があります。

2017年現在の主なPAC-3配備場所はこのとおりです。

北海道:千歳
青森県:車力
埼玉県:入間
茨城県:霞ヶ浦
千葉県:習志野
東京都:市ヶ谷
神奈川県:武山
静岡県:浜松
岐阜県:各務原
三重県:白山
滋賀県:真庭
福岡県:芦屋
福岡県:高良台
福岡県:築城
沖縄県:那覇
沖縄県:知念

この他にもパトリオットを装備している部隊はありますがPAC-2のままです。将来的にはすべてPAC-3にする予定らしいです。

PAC-3は北海道、首都圏、中部、近畿、九州、南西諸島への配備が中心です。

予算の都合で日本中に配置できるほどの数がありません。今のところ首都圏、中部、近畿などの都市部とロシアに近い北海道、東北地方、朝鮮半島や大陸に近い九州地方しか守られていないのです。

中国、四国地方は無防備な状態です。

2017年9月の北朝鮮のミサイル発射では、北朝鮮がグアム周辺に弾道ミサイルを撃つといったので、通り道の中国、四国地方にPAC-3を移動する羽目になりました。でも実際に飛ばされたのは北海道でした。

現実には前もってどこにミサイルを撃つか予告するはずがありませんよね。

射程が短いPAC-3

PAC-3の射程は20km。発射装置の置いてある場所を中心に半径20kmの円内が撃ち落とせる範囲です。

20kmというと長いようですが、意外と狭いんですね。いくつかの市町村が収まる範囲です。

PAC-3が日本で一番過密なのは東京周辺です。それでも首都圏の入間、霞ヶ浦、習志野、市ヶ谷、武山のPAC-3でカバーできるのは赤い丸で囲ったこの範囲だけです。

PAC3配備場所

首都圏以外の地域ではもっと手薄です。

今のところすべてのPAC-3を使っても日本全部を守ることはできません。大都市などの一部の人だけですね。

PAC-3は最後の手段

そもそもなんでPAC-3がこんなにも手薄なのかというと。

予算が少ないとか、置いておく場所がないとか、日本国民も政治家も国土防衛にあまり熱心でないという事情はあります。

PAC-3は最後の手段だから。

という事情があります。

ミサイルが発射されたら日本に来る前に撃ち落とすべきなんですよね。

落下の直前で撃ち落とすのは技術的に難しいし、落ちる場所を予想するのが難しい。

だからPAC-3だけに頼るのは無理なんです。

PAC-3は保険みたいなものです。最後の最後の手段。PAC-3に頼る場面というのは、いつ死んでもおかしくない非常に危険な状態だと思いましょう。

それでも全く守れないよりは守れたほうがいい。被害は少しでも少なくしたほうがいい。というわけでPAC-3があるんですね。

そうならないためにイージス艦があります。また政府は他の撃墜手段も考えているようです。でも、今撃たれたら間に合いません。検討するのが遅いような気もしますが、しないよりはましです。

PAC-3のお値段

射程の短いミサイルを全国に置くためにはものすごい数のPAC-3が必要です。

PAC-3はランチャーやレーダーを含めた1セット 8億円。
PAC-3ミサイルは一発 5億円。ミサイルの値段がとてつもなく高いです。

弾道ミサイル迎撃用のミサイルはハイテクの塊なのでとっても高価なのです。

イージス艦のミサイルSM-3は一発20億円。でもイージス艦は3籍あれば日本をカバーできるといわれます。ミサイル撃墜も宇宙空間でやるので破片が落ちてこない。

PAC-3を日本中に敷き詰めるよりイージスを増やしたほうが効率的ですね。

とはいっても、イージス艦は1隻1200億円もします。船を動かすにも大勢の人がいります。アップデートやメンテナンスにもお金がかかります。そこでイージス艦のミサイルとレーダー、コンピューターだけを地上に置くシステムがアメリカで開発中です。イージスアショアといいます。将来は日本も導入するかもしれませんね。

破片が落ちるから撃墜は意味はない?

ところで「ミサイルを撃ち落としても破片が落ちるから意味はない」という意見があります。

確かに、PAC-3が命中しても弾道ミサイルそのものを消滅させることはできません。

ミサイル本体が落ちてくるわけではない

ミサイルというと10m以上もある長い物体を思い浮かべると思います。
でも、ミサイルは燃料が空になったら切り離して小さくなります。いらない部分は捨てて軽くしないと空に上がれないからです。

地上に落ちてくるときには弾頭部分しか残っていません。先端の三角形の部分だけです。

北朝鮮のミサイルで一番大きな火星14型では弾頭は赤丸で囲った部分。

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出典:自衛隊の戦力―各国との比較 (メディアックスMOOK)

画像を見ると弾頭は1~2mくらいでしょうか。それでも中に爆弾が入っていれば1トン以上はあるでしょう。

弾道ミサイルの弾頭の場合。1トン以上の物が一秒間に数kmの早さで落ちてきます。その落下の衝撃だけでもコンクリートの建物が壊れるでしょう。

中に核爆弾が入っていたら街が数kmの範囲で破壊されます。

しかしPAC-3などの迎撃ミサイルで撃墜してしまえば弾道ミサイルは壊れます。破片は飛び散りますが、もともとの大きさよりも小さくなってるので被害はずっと少なくなります。

また、迎撃ミサイルがぶつかって爆発するとその衝撃で弾道ミサイルのスピードが遅くなります。スピードが遅くなると、地上に落ちたときの衝撃が小さくなります。直接飛んでくるよりも撃墜されて飛び散ったほうが、落ちたときの衝撃が小さくなるんですね。

たとえ撃墜した破片で被害が出たとしても、撃墜せずにただ待ってるだけよりも被害が小さくなるんです。

破片の被害なら丈夫な建物の中にいれば防ぐことができる確率があがります。

ミサイルを撃墜したら核爆発が起きるの?

「核ミサイルを撃墜したら、核爆発が置きて危ないじゃないか」という意見がありますが。その心配はありません。

普通の火薬の爆弾と同じようなイメージで核ミサイルが爆発すると思ってる人が多いんじゃないでしょうか。

でも違います。

核はあなたが思ってるほど簡単には爆発しないんです。

もともと火薬の爆発と核の爆発は全く違う反応で起こります。

大学で化学を専攻した人ならわかると思いますが、核は熱や衝撃で爆発するような簡単なものじゃないんですね。一度反応が始まると止めるのは難しいですが、反応を始めるのは意外と難しいです。

核爆弾には起爆装置がついています。起爆装置がちゃんと働かないと核反応は起こりません。

そもそも、そんなに簡単に爆発させられるものなら北朝鮮が何度も実験する必要はありません。爆発させるのが難しいから、国際社会から避難を浴びてでも何度も実験して研究しないといけないんです。

ちなみに普通の火薬の爆弾でも同じです。今でも戦時中に落とされた不発弾が見つかることがありますよね。不発弾は空から落ちてきたのに爆発していない爆弾です。ちゃんと起爆装置が働かなかったのでしょう。落ちた衝撃くらいではそう簡単には爆発しないんですね。

もちろん何があるかわかりませんから。何かの拍子に起爆装置が働いて爆発する可能性はあります。

でも爆発する前に壊してしまえば、爆発する確率はずっと減るんです。

PAC3に頼りすぎるのは危険だがないよりはマシ

こうしてみると、日本を守るためには今のPAC-3だけでは不十分なことがわかります。

でも仕方ありません。日本は平和なのであまりこういうことには熱心ではありませんから。

でも、いざという時にはないと困ります。ただ撃たれて爆発するのを待ってるだけに比べれば遥かに被害は小さく出来ます。少しでも被害を減らす。ためには必要なもののようです。

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