アメリカ大統領選挙ではインターネットに広がるフェイクニュースが問題になりました。日本でも医療情報を掲載したDeNAのまとめサイト「WELQ」がデタラメな情報を乗せていたことが問題になりました。最近では「ヘルスケア大学」という美容・健康記事のまとめサイトが医師の指摘を受けて記事を削除するという事件も起きています。
ネット上に広がるフェイクニュースが問題になってます。
インターネットのフェイクニュースはなぜおきるのか、なぜ増えているのか考えてみました。
フェイクニュースとは何なの?
”fake(フェイク)”は”偽り、偽物”という意味の英語。つまり、フェイクニュースとはうその情報という意味です。トランプ氏をめぐる報道で有名になりましたが、以前からあった言葉です。
事実とは違う内容を、本当のことのように思わせて発信して人々を騙す人たちがいるんですね。なぜそんなことをしているかというと、ウソの情報を流すと自分たちの利益になるからなです。
なぜウソの情報を流すと利益になるんでしょうか?その理由はいくつかあります。
(1)お金が入る。
(2)地位や権力が得られる・維持できる。
(3)快楽が得られる。
「お金のため」はなんとなくわかると思います。でも他の理由はちょっとわかりづらいかもしれませんね。もう少しわかりやすく説明します。
ネットがお金になるしくみ
フェイクニュースを載せてるサイトには広告が載っています。いまやネット上の広告はどのサイトにもあるので珍しくありませんね。このブログの下にも広告があります。
広告がクリックされるとサイトの運営者に広告主からお金がもらえる仕組みになっています(見ただけではお金にはなりません)。このような仕組みをアフィリエイトといいます。
アメーバなど無料で利用できるブログがあるのも広告費で運営されているからです。自分でサイトを作った場合は自分で運営して広告を載せると自分に広告費が入ります。
最近では無料で漫画が読めるサイトもそうですね。そのようなサイトには必ず広告が付いています。「無料でマンガが読める」と読者を集めて広告収入を得ているわけです。
フェイクニュースを載せてるところは自分でサイトを作ってネタを載せて読者を集めているようです。
沢山の読者に広告をクリックされると広告主からお金が入ります。テレビや雑誌の広告と似てますが、違うのはクリックされた回数で支払われる金額が変わることです。
読者が増えれば収入も増える
インターネットの広告は見る人が多いほど収入が増えるしくみになってます。ということはサイトを運営する側はとにかく沢山の人に見てもらおうとインパクトのある情報、人目を惹きつける内容の記事を載せるのです。
その情報が正確な情報だったり、役に立つ情報ならいいのですが。なかにはそうでないものも含まれます。
お金目当てなので間違ってる情報でも載せてしまうことがあるようです。インパクトがあって人の注目を集めることができるならそれでいいのでしょう。その結果フェイクニュースを載せるサイトが誕生するんですね。
個人のブログはその人の主張や主観が多いです。だからあまり信憑性がない。と想像できると思います。でも企業や団体が作ってるサイトが正しいとは限らないんです。金儲けのために作られたサイトなら企業や団体が作ったサイトでも信用できないんですね。その典型例がWELQです。
アフィリエイト=嘘ではありませんが、ネットを見てると嘘の情報が多いとは感じますね。
動画サイトもお金になる
You Tubeに出てる広告も同じです。ユーチューバー(You Tubeに動画を載せてる人)は沢山の人に動画を見てもらえるとお金が入ります。
ホームページやブログの広告はクリックされないと広告費が入りません。でも、動画の広告は見られただけで広告収入が入ります。テレビCMのような感覚です。
犯罪スレスレのことまでして動画を載せるのはお金のためなんですね。単に「見てもらって嬉しい」だけではないんです(もちろんそれもあると思いますが)。
内容や時間にもよりますが、YouTubeの広告収入は一回見たら0.1~0.2円程度だといわれます。
ユーチューバーで食べていくのは難しい
最近はユーチューバーが人気の職業だと報道されることもあります。確かに世の中には大金を稼いでいるユーチューバーはいます。でもそれはほんのごく一部です。ユーチューブで収入を得るのもアフィリエイトです。
職業といえるほどお金を稼ごうと思ったら相当な視聴数が必要です。仮に1回0.2円だとしても、1万回見てもらっても2000円にしかならないんです。シロウトが動画を作ってユーザーに1万回も見てもらうのは相当に難しいです。
だから現実には生計を維持できるユーチューバーは極々一部といわれます。
小遣い稼ぎやアルバイトの代わりにはなるかもしれません。運がよければ独身者がなんとか生きていける程度には稼げるかもしれません。でも職業にして家族が生きていけるようになるのは難しいと思ったほうがいいです。
ちなみに広告のない動画は収入になりません。「情報を広めるのが目的」「有名になるのが目的」の動画には広告が付いてないことが多いですね。
インターネットはフェイクニュースの宝庫
報道などで問題になるのはインターネットのサイトです。大手企業のサイトが閉鎖に追い込まれるくらいです。まとめサイト、キュレーションサイトにいい加減な記事が多いのは確かです。大手のサイトも個人のサイトも信憑性という点ではあまり変わらないのかもしれません。
そのせいでしょうか。最近は「インターネットのサイトが信用できないからネットの口コミを信用する」という人も増えているようです。
ところが口コミにも落とし穴があるんです。
口コミには「おとり」がいる
ネットの口コミサイトには必ず「ステマ」が存在します。おとりと言ってもいいでしょう。消費者や中立の立場を装って商品を宣伝するのが「ステルスマーケティング」。略して「ステマ」。いわゆる「サクラ」ですね。サクラは古典的な方法なんですが、ネットの口コミでやると意外と気がつかないようです。
サクラとは逆に意図的に悪い情報を流す人もいるようです。何らかの理由で悪意を持っている人が、評判を落とそうとしているんですね。
口コミは参考にする程度なら便利です。
ネットの口コミも100%は信用はできないんですね。
僕もアマゾンや楽天市場の口コミはよく見ます。でも星を見るだけでは意味がありません。
書いた人が何がいいと思ってるのか、何を悪いと思ってるのか。よーく読まないと本当のよさ・悪さはわかりません。
本の場合だと著者の信者・ファン・関係者と思われる人がべた褒めしてる時があります。露骨な褒め文句は疑ったほうがいいかもしれません。逆に極端に批判ばかりしているものは悪意を持っている人かもしれません、割り引いて考えたほうがいいかもしれません。
他の口コミでも同じです。
書いてる内容を見て「この表現は極端すぎる」「露骨だ」「なんか言ってることがずれている」ものは無視しましょう。ただ褒めてるだけ・批判してるだけの口コミも意味はありません。
しろうとのふりをした宣伝活動
SNSの口コミも同じです。ある程度影響力のある人にはスポンサーがついて商品やサービスを提供しています。そんな人を「インフルエンサー」といいます。もともとは「影響力のある人」という意味です。ウィルスをばらまく人と似たようなイメージですね。
インフルエンサーがSNSで商品の情報を流すと、消費者が信じて商品やサービスを買うというしくみです。タレントではない「しろうと」を雇って宣伝活動をしているんですね。お金をもらってるのでしろうととはいえませんが。
商品やサービスがスポンサーから提供されたものなら極端な感想、批判的な感想は書けません。結局は、口コミのふりをして宣伝しているんです。SNSではこの方法が主流です。
SNSで流されると個人の感想なのか宣伝なのか区別つきません。「SNSの口コミだから正しい」とはいえないのですね。
SNSはフェイクニュースだらけ
SNSで問題になるのは口コミだけではありません。不正確な情報が多いのです。個人の感想や思いつき、思い違いがストレートにネットに広がります。スマホで手軽に投稿できますから軽い気持ちで投稿することもあります。事実を確認せずに勢いやノリだけで投稿したり。いたずら目的の投稿もあります。
熊本地震の時、動物園から猛獣が逃げたという情報が伝わりましたよね。
日本人は「いたずら」には寛容です。だから人に迷惑をかけても悪いと思わない人もいます。でも人間は刺激には慣れてしまいます。いたずらはエスカレートするんです。「いらずらならいいか」と野放しにしていると大きな問題になってしまうのですね。
フェイクニュースが広まる原因の一つに「快楽が得られる」があります。SNSのいたずらには快楽を得るためのフェイクニュースが多いようです。投降した本人は悪いことだと思っていない。罪悪感がないだけにやっかいです。
あるTV局の行ったアンケートではSNS利用者の3割が嘘の投稿を書いたことがあると答えています。アンケートは自己申告ですから実際にはもっと多いでしょう。
みんなやってるからという軽い気持ちで嘘の投稿を書く人が増えているようです。
どこにでもいる個人がお手軽にニュースの元になるのがSNS。軽い気持ちで流すものが多いので正確さや重大さを考えてない人が多いようですね。
確かにSNSにも事実も含まれているのでしょう。でもSNSだけを見ていたのではウソか本当か判断はつきません。SNSだけで判断するのは危険なんですね。
「お手軽」ということは「簡単に犯罪ができる」ということなんです。
しろうとだから悪意がないとはいえないんです。
フェイクニュースに騙されないために
ネットの場合。まずは情報の出所を確かめましょう。引用元があるなら引用元を見てみます。情報の出処はできるだけ公的機関がいいですね。誰が書いているかも大事です。素人が書いたものは信憑性が落ちます。
それをいうとこの記事自体の信憑性が低いことになりますね。そのへんの判断はあなたにおまかせします。でも本やネットを探せばこの記事と似たようなことを書いている人はいくらでもみつかります。信じるのはそれからでもいいんです。この記事が世の中の情報が正しいのか考えるきっかけにさえなれば。信じてもらえなくてもかまいません。
とにかく、できるだけ情報源がはっきりしているものがいいです。
ただし情報の出処が専門家だからとって正しいとは限りません。日本には怪しげな有識者や知識人が多いです。テレビや新聞だって信じられないこともあります。
情報の発信者がふだんからどんな思想をもってどんな発言をしているのかチェックするのも必要になるかもしれません。
結局は自分の頭で考えることが大切なんですね。
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