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不正の奥にあるスズキ自動車の深刻な問題

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三菱自動車に続いて、スズキ自動車も燃費の測定方法を偽っていました。
三菱自動車の様に燃費の数字を改ざんしていたわけではありませんが、
国の決めた方法と違うやり方で測定したのです。

スズキは5月31日。
記者会見を開き国の定めた方法で測定しなおしたとところ、
公表していた数字と同等か良かった。
燃費を偽装するために法律を無視して測定したわけではないと発表しました。

技術的には問題なかったのかもしれませんが。
スズキは企業として問題をかかえています。
しかも今に始まるものではありませんでした。

 

目次

2010年からはじまった不正な測定方法

 

スズキが国の定めた方法で測定しなくなったのは2010年のスイフトから。
いわゆる3代目スイフト。

国の定めた燃費測定方法は実際に車を動かさないといけません。
でも静岡県浜松市にあるスズキのテストコースは海からの風が強く、燃費が不利にでる条件だったといいます。

本来ならテストコースに防風壁を作るなど設備投資をしてテストを行うべきです。

でも、スズキは部品ごとの抵抗値を測り、車の空気抵抗は屋内の施設で測定し、それらのデータを審査機関に提出していました。

ヨーロッパではその方法で認められるそうです。
スイフトはスズキの世界戦略車。ヨーロッパを中心に販売する車種なのでその方法でデータをとるのは分かります。
でも国内向けにもその方法で出したデータを使ったのです。

「ヨーロッパで認められるから国内でもいいだろう」と思った。
と言いますが。
もちろんウソです。

企業に勤めている人なら分かると思います。
町工場ならいざ知らず、一部上場でこれほどの規模の企業がそんな規則を知らないはずがありません。2010年以前は法律どおりに測っていたことなのでしょうから。

違法だと分かっててやったのです。

その証拠に。
ヨーロッパに出荷しない軽自動車でも国内の法律を無視した方法でデータを出していました。

なぜでしょうか。

テストコースの設備投資が惜しいから。
国内向けに別に燃費試験をすると手間とコストがかかるからです。

わずかな投資も惜しい。
お金を出すのが惜しい。

ケチな体質が、不正を働く原因になったといえるでしょう。

 

軽自動車は貧乏人の車・スズキの車哲学

 

今のご時勢、どの企業もコスト削減に熱心です。

しかし、スズキ自動車にはもともと不正を産み出す思想がありました。

「軽自動車は貧乏人の車である」

とはスズキ自動車会長・鈴木修氏の言葉です。
修氏は軽自動車を馬鹿にしたわけでもありません。
貧乏人を馬鹿にしたわけでもありません。

自動車にお金をかけられない人のために軽自動車が存在する。
だから、軽自動車の開発にお金をかけるべきではない。
無駄な装備は必要ない。
道具に徹して少しでも安く提供する。

というのが修氏の思想です。

少しでも安く車を提供したい。
その理想は立派です。
その思想を体現したのが初代「アルト」であり。
その後も、スズキは堅実な車つくりを続けて来ました。

確かに成長途上の日本ではそれで良かったのです。

 

 

時代遅れの哲学にしがみつた結果

 

ダイハツに加えて、ホンダ、日産も軽自動車販売を始めるようになりました。

確かに安い車は必要です。
でも、それだけでもアピールできない時代になりました。

ダイハツはスズキよりも短い間隔でモデルチェンジを繰り返し、新しい車種をどんどん作り。
消費者に新しさをアピールしています。
ホンダはもともと固定ファンが付いてることも大きいのですが、スズキ対ダイハツの燃費競争には加わず独自路線を歩みました。独自のデザイン、使い勝手の良さをアピール。
日産はその巨大な販売網と、普通車で養った高品質な車つくり、高機能をウリにしました。(燃費でケチがついてしまいましたが)

でも、スズキがアピールしたのは低価格と燃費だけ。

開発費の多くは燃費削減の研究に費やされたのでしょう。

モデルチェンジしても外観は同じ。
徹底したコスト削減ぶりです。

デザイン、コンセプトのつまらなない。燃費だけがウリの車が量産されました。
ワゴンRの凋落、スペーシア、MRワゴンの不審と無関係ではないでしょう。

わかりやすい目新しさはない。
特別な機能もない。
かといってデザインが優れているわけでもない。
消費者にアピールできるのは燃費と安さだけ。

会社としては鈴木修会長の目指す貧乏人のための車だからそれでよかったのです。

でも、ライバルの多い軽自動車市場ではそれでは売れません。

軽自動車No.1の座を失ったまま何年もたちますが。
もともと利益の少ない軽自動車の割合を下げたかったスズキからは。
特に1位の座を目指そうという熱意は伝わってきません。
もちろん。販売店は熱心に販売活動してますが。
本社がそんな有様なので、売れる車はなかなか出てきません。

スズキ本社はもはや軽自動車に興味を失っているのかもしれません。
ダイハツが新型コペン、ホンダがS660を作っても、
その対抗策がアルトターボではやる気がないと思われても仕方ありません。
(あとでカプチーノが出てくることを願ってます)

最高速度はアルトワークスの方がS660より速いのかもしれませんが、
この手の車にユーザーが求めているのは、数字だけじゃないんです。
面白さ、道具以上の価値感なんです。

 

所詮、車は人や物を運ぶ道具

 

でもスズキの車つくりには根本的にそれが欠けてる。
「貧乏人の車」とは「所詮、車は荷物や人を運ぶための道具」
という意味が込められています。

道具なら機能や安さだけアピールすればいい。
売れるかどうか分からない新機能もつける必要はない。
他社が売れたらつければいい。

だからスズキは他社より先に新機能を付けることがないんです。
CMを見てもタレントを出して、燃費の数字を連呼するだけ。
その車にどんな特徴があって、
ユーザーにとって何がいいのかまったく分からない。

車そのものにアピールする点がないからです。

古臭い思想が法律無視の体質を作った

 

終戦直後や高度成長期なら道具としての車でよかったかもしれません。
しかしこれだけ物があふれ。
価値感が多様化している現在。
そのような古臭い車つくりでは生き残っていけません。

売れないからと言って焦ってコスト削減すると。
今回の様に法律を無視しても設備投資をケチる。
なんてことが平気でするようになるのです。

スズキが立ち直るにはどうすればいいのでしょうか。
古臭い体質を一掃することです。

企業ではオーナー経営者の発言力、長年の経営で作られた体質は法律よりも強いんです。
日本の中にある独立国の様なものです。

「軽自動車は貧乏人の車」「車は所詮道具」と言ってる人達を追放すべきでしょう。

ダイエーのようにならないことを願ってます。

 

 

商品自体はいいものなのに

ちなみに我が家の車はスイフト。
不正の始まった3代目です。
(うちのはマイナーチェンジ後の車ですが)

車自体はいいものだと思ってます。
(今のスイフトは狭いわりにでかすぎますが・・・)
スイフトはカタログ数値と燃費の実測値の差が日本で一番小さい車ですし。

燃費のカタログ値自体が現実離れしたもの(そういう制度なんです)なので
過剰な期待もしていません。

車自体はいいものだと思ってるだけに、
このような会社の体質は残念です。

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