竹島付近で韓国軍機がロシア軍機に警告射撃したのはナゼ?

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7月23日。竹島領空で韓国空軍機がロシア軍機に対して警告射撃をしたと発表がありました。どうやら日本海でロシア、韓国、中国、日本の航空機が出撃する場面があったようです。

各社の情報を確認して竹島付近でいったい何が起こっているのかどういう意図があるのか考えてみました。

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竹島付近で何があったか

韓国の発表

朝鮮日報の記事を要約するとこうなります。

ロシアの軍用機が23日、竹島付近の韓国領空を2度、計7分にわたって侵犯し。韓国軍がおよそ360発の警告射撃を行った。これに先立ち、別の中ロの爆撃機4機が、そろって日本海の韓国防空識別区域(KADIZ)へ無断侵入した。

(韓国独特の名称は正式な名前に替えています)

朝鮮日報は韓国最大の新聞社。韓国の右派保守系メディア。論調としてはアメリカ寄りですが過激な反日記事を書くことでも知られます。「朝鮮」と付きますが北朝鮮とは関係ありません。

ロシア国防省は「アジア・太平洋地域で初めて中国空軍と長距離連行紹介飛行訓練を行った」と発表した。

23日の挑発は午前6時44分ごろ、中国のH6爆撃機2機が離於島北西方面からKADIZに無断侵入したことで始まった。その後、ロシアのTu95爆撃機2機など中ロの軍用機4機がKADIZ離脱・再侵入を繰り返し、ロシアのA50早期警報統制機は午前9時9分から12分にかけて、9時33分から37分にかけての2度にわたり独島の領空を侵犯した。韓国軍はF15K、KF16戦闘機を緊急出撃させ、警告射撃に乗り出した。

朝鮮日報・日本語版サイト

 

警告射撃とはずいぶんと乱暴な行動です。でもまあ日本が滅多にしないだけで外国の戦闘機は警告射撃しますからね。

でもその場合でも何度も通信や機体の動きで警告をして最後に警告射撃をするのが普通です。通信なしに警告射撃はありえません。

また7月24日の記事では青瓦台(大統領府)の尹道漢・国民疎通首席秘書官の発表として。

ロシアの武官が韓国国防部の政策企画官に「計器の誤作動で計画していない地域に入ったとみられる」「領空侵犯の時間や位置情報を提供してくれれば、事態の解決に役立つ」と話したと発表しました。

韓国の発表によるとロシアも領空侵犯は認めたということでしょうか。

でもロシアは意図的にやった可能性は否定できません。

しかしロシアなら本当に計器が壊れていた可能性もあるのが笑えません。

ロシアの発表

ロシアの通信社スプートニクによると次のような発表がありました。

スプートニクはロシア政府計の通信車「ロシアの今日」の傘下にある通信社。ロシア国外での活動を積極的に行っています。ロシア国外版のコンテンツにはプーチン大統領にやや批判的な記事もありますが、基本はロシア政府の立場で報道しています。

スプートニクの7月23日の記事を引用します。

ロシア国防省の発表では、Tu-95MS機は当初の計画どおり、国際規則を遵守して竹島(韓国名でトクト島)から25キロ以上離れた空域を通過しており、韓国の領空は侵犯していない。

竹島から25km離れて飛んでいたようですね。領海は海岸から22.2km。一般的には領空といえば領海の上の空です。ロシアの主張通りなら領空侵犯にはなりません。

ロシア国防省は、「韓国のパイロットはTu-95MSの乗員からの通信に応答せず、赤外線誘導フレアを発射した後、ロシア機から離れるマヌーバを行った」として、韓国が緊急発進させたF-16のパイロットが専門性を欠いたマヌーバを行い、ロシア軍機の航路を横切って、危険にさらしたとの見解を表している。

スプートニク・日本語版サイト

フレアとはミサイルの攻撃から逃げるときに使う「囮」です。フレアは発光弾のように見えるので視覚的な脅しに使ったのかもしれません。

韓国軍機からの通信はなかったようです。普通なら通信で進路を変更するように主張します。相手の通信にも答えたりするはずです。それがないのはおかしいですね。

ロシア国防省は韓国軍が警告射撃を行ったとは発表していないようですね。というかA50の行動については発表していません。ロシアも意図的に隠してる部分はありそうですね。

 

フランスの発表

また、フランスのAFP通信もロシアの声明を公開しています。

そAFP通信の内容もスプートニクとほぼ同じ。韓国の発表とは若干違うようです。

フランスAFP通信 7月23日の記事ではこのようなことが書かれています。

ロシア外務省は「ロシア空軍のTu95戦略爆撃機2機は日本海(Sea of Japan)の公海上空で予定されていた飛行を実施した。」と述べた。

ロシアの認識では「韓国の領空侵犯はしていない」ということです。

韓国軍機が警告射撃をしたことは否定しました。

しかし。

韓国軍機がロシア軍機の飛行経路を韓国軍機が横切って「安全性を脅かす」「職業倫理に反する操縦」を行った上、韓国軍機の操縦士らはロシア軍へのコンタクトも取ることはなかったとしている。

「韓国の操縦士が日本海の公海上でロシア空軍機の飛行を妨害しようとして失敗に終わったのは初めてのことではない」と主張した。

AFP通信・日本語版サイト

とありますので、韓国軍機は通信を行わずに、ロシア軍機の飛行を妨害するような行動をとったようです。異常に接近したりして進路を変えさせようとしたのでしょう。

警告射撃されても普通は反撃しない

「警告射撃をされたのにロシアが何もしないのはおかしいじゃないか」という意見もあります。

でもロシアだからといってすぐに武力行使するわけではありません。

しかもロシア側はA50早期警戒管制機とTu95戦略爆撃機しかいません。戦闘機相手に反撃したら負けるに決まっています。

警告射撃は文字通りの警告。あくまでメッセージです。

だから「弾丸は機体には当たらない」のが前提です。

なので偵察機や爆撃機も弾が当たらないのは知ってる。警告射撃を受けたらその場から立ち去るのが普通です。

でも日本の発表した飛行経路を見るとロシア軍機は特に進路変更した様子はありません。韓国空軍の妨害も問題ではない。予定通り竹島付近を飛んで帰ったのでしょう。

ロシア軍は韓国軍が撃墜するようなことはないと思ってるんです。

今回はロシアも領空侵犯したことは知ってます。だからロシア政府も国防相もあえて強行な主張や反撃はしません。韓国が抗議しても適当に相手してウヤムヤで終わらすでしょう。

機体に当たったら別ですが、血気盛んな韓国軍が警告射撃したからといってロシアは怒ったりはしない。韓国の対応を確かめただけでしょう。

ロシア軍のA50は韓国軍の動きを調べていた

今回、ロシアのA50早期警戒管制機は2度竹島の領空に侵入しました。あえて挑発的な行動とっているように見えます。

A50は高性能レーダーを搭載しています。戦闘機なら300km離れていても探知することができます。

つまりA50が竹島付近にいれば、韓国軍機が基地を飛び立った時点で知ることができるのです。

つまり。どの程度島に近づいたら韓国軍が発進して、どのくらいの時間で到着するのか調べることができるのです。

だから今回はロシア軍機はあえてきわどいところを飛んで韓国軍の能力や対応を探ったのだと思います。

ロシアと中国の意図

ロシアと中国も認めている通り、ロシア軍と中国軍が日本海で合同軍事演習を行っていたのは間違いありません。

今までロシア軍と中国軍が陸や海で軍事演習を行うことはありました。それが空でも行うようになった。ということはロシアと中国軍の関係が更に進んでいるようです。

中露の接近は日米韓の関係強化に対抗するものだといえます。

韓国の聯合ニュースでは「8月に行う予定の米韓の合同軍事演習を中露が牽制した可能性がある」と発表。

このところアメリカに頼ろうとしている韓国に対してロシアと中国が牽制をしているのでしょうか。

また中国軍機は東シナ海の離於島近くの韓国防空識別圏にも侵入しました。この島は中国と韓国が領有を主張している場所です。

中国とロシアは日本海を自分たちの勢力範囲にしたいと思っています。韓国が領有を主張する場所が日本海にあれば中国やロシアにとっても邪魔です。

おとなしい日本と違って、韓国は領土問題に限っては中露が相手でもみさかいありません。「じゃあどの程度能力があるの?」ということで調査しているのでしょう。

つまり、韓国は東と西から中露のプレッシャーを受けるのです。韓国が日米から離れれば離れるほど中露にも追い込まれていきます。特に左派が主導権を握る文政権は中国や北朝鮮に親しい立場です。短期的には反発しても最終的には中国に従わざるを得ないのが今の韓国です。

アメリカに頼るのはやめて俺たち(中露)に従えよ(フッ化水素も売ってやるし)。というメッセージなのかもしれません。

日本の対応

最後になりましたが。

韓国やロシア、中国の動きに対して日本はどんな対応をとったのでしょうか?防衛省の発表が読売新聞に載っていました。

要約するとこうなります。

中国の爆撃機2機が東シナ海から日本海にかけて飛行し、日本の防空識別圏に入った。
航空自衛隊が緊急発進した。
その後、ロシアの爆撃機2機が中国機に合流した。
近くにいたロシアのA50が竹島東側を南下して、午前9時9分から約3分間にかわって領空に入った。
A50は旋回して北上し、竹島西側領空を再び約4分間飛行してロシア方面に抜けていった。

日本は竹島は防空識別圏には入れていません。でもレーダーなどで竹島上空を監視しています。だから竹島付近で何が起きているのかはおおよそのことが分かります。

中国とロシア軍機の日本の防空識別圏侵入については緊急発進をして対処しました。いつものスクランブルです。

でも竹島は日本は領土の主張はしているものの、日本防空識別圏には入っていません。竹島上空を領空侵犯されても日本にはなす術はないのです。

せいぜいが「遺憾」のコメントを伝える程度です。今回もロシアや韓国の大使館に抗議したということですが。

相手にされない。

のはいつもの通り。

竹島付近で外国の飛行機が入り乱れているのに日本は蚊帳の外。

実力の伴わない防衛にはなんの意味もありません。かといって日本が竹島上空を防空識別圏に入れて空自のスクランブルをかけると毎日のように日韓が竹島上空で鉢合わせすることになるでしょう。政府にはそのくらいの強気でやってもらってもいいのですが。そんなことをするとそのうち撃墜される機体がでるかもしれません。今の日本の体質では無理ですね。

だから領土は取られないようにしっかり守るのが重要なんですよ。

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