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天皇陛下の生前退位・専門家・有識者はなんで反対してるの?

菊御紋

天皇陛下の生前退位について関心が広まっています。でも政府・専門家・有識者は反対してますよね。なぜなんでしょうか?

読売新聞社の調査によると、天皇陛下の生前退位についてはこのようなアンケート結果になってます。

今後のすべての天皇について認める 67%
今回の天皇だけ認める       24%
認めない              5%

 出典:読売新聞 朝刊9月13日

 

一般国民と専門家たちの意見はなぜ違うんでしょうか?
専門家や有識者はどんな考えているのでしょうか。

 

目次

実は過去にも問題になっていた

 

昭和59年。昭和天皇は当時83歳と高齢でした。そこで公務を全うできるのかという問題が国会で話し合われました。そのとき国会に呼び出された宮内庁の山本次長は生前退位について三つの問題点をあげました。

(1)歴史上、上皇や法皇の存在が弊害を生ずる恐れがある。
(2)天皇の意思ではない、強制的な退位が起こらないとはいえない。
(3)恣意(しい)的に退位すると、それもいかがなものか。

この三つの問題点は、生前退位の問題が出るたびに繰り返し主張されてきたことなんです。明治から今の政府、学者、有識者の多くがこの説を繰り返しています。

昭和59年の議論から数年後、昭和天皇が倒れ闘病生活のすえに昭和が終わりました。

ちなみに、現在の天皇陛下も2016年12月23日で83歳になられます。

上皇が天皇を妨害する?

生前退位の問題がでるといつも出るのが、上皇が存在すると天皇の存在を脅かすというもの。

例えば平安時代の鳥羽上皇が自分に都合のいい天皇を即位させるため、崇徳天皇に退位を迫ったり。崇徳上皇と後白河天皇の争いが武士を巻き込んで保元の乱のもとになりました。確かに長い歴史の間には上皇と天皇の対立がありました。戦争に発展したこともあります。

保元・平治の乱で力を付けた平清盛。上皇と天皇の争いがなければ清盛も出世できなかったかも

でもね。ここで不思議に思いませんか?

現代 の問題を話し合ってるのになんで 平安時代 を気にするんでしょうね?僕はこれが不思議なんです。

確かに平安時代までは天皇には権力がありました。だからその権力をめぐって対立が起きました。でも現代の世の中で平安時代のような皇族の絡んだ権力争いが起こると考えてる人がいるなんて・・・。失礼ですが、笑ってしまいました。

現在の天皇に権力があるでしょうか?念のため、冷静に考えてみることにしましょう。

日本国憲法にはこう書いてます。

憲法4条1項
天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。

出典:国立国会図書館・日本国憲法

 

「歴史上、上皇と天皇が争ったから」
というのは日本国憲法を無視した議論のように思えますよね。

明治時代には上皇の存在が本気で心配していた

明治時代の1889年に作られた皇室典範では生前退位が否定されました。それは上皇の存在が天皇の権威を邪魔する可能性があるため。上皇が政治に口出しするのを防ぐためでした。

当時は江戸時代が終わって20年(明治元年は1868年)。西南戦争(明治10年・1877年)が終わって12年。まだ江戸時代の記憶が残る時代です。

明治維新の記憶が残る人なら別の派閥が上皇を担ぎ出して政府に圧力をかけると心配しても不思議ではありません。だって、明治政府をやってる人たちがかつて天皇を担ぎ出して徳川幕府を倒したんですから。

でも、明治維新やった人が生きてた時代に作られた明治の皇室典範と現代では全く状況が違いますよね。

倒幕運動が薩摩藩や長州藩が朝廷とは関係なしに起こした反乱だったら明治維新は成功しなかかもしれません。天皇の権威のもとに他の藩を味方につけたから倒幕できたんですね。明治政府の人たちは天皇の権威の怖さを一番よく知ってる人たち。だから天皇の権威は自分たちだけのものにしたかったと思います。そのためには権威を持つ存在が複数いてはだめなんですね。

でも現在のような象徴としての存在なら退位した後は公式の場に現れなければそれですむんじゃないでしょうか。皇太后陛下がほとんどそのような状況ですよね。すでに皇太后陛下という前例があります。

 

上皇はイメージ悪いの?

退位した天皇をどう呼ぶかが問題になってるようです。
「太上天皇」でもいいと思いますが。問題あるって言ってる人もいますね。

専門家は上皇は悪いイメージがあるからって言います。平安時代の一部の上皇のイメージをひきずってるんでしょうね。生前退位した天皇は歴史上58人います。そのみんながイメージの悪い人じゃないですよね。

それを言ったら大和朝廷ができて室町時代までの間には天皇が戦の当事者になったこともありました。それは何とも思わないんでしょうか。なぜ上皇だけ問題にするんでしょうか。

でも今の国民は専門家が思うほど気にしてないような気がします。そこまで歴史に興味ないと思うんですよね。

 

皇太弟も必要に

また、今の皇太子殿下に男児がいないから次の皇位継承者は秋篠宮殿下になります。そのため”皇太弟”の存在が必要になりますよね。皇室典範を変えたり役割や待遇をどうするかとか検討する内容はあると思いますが、皇室典範に載ってないからできない。っていわずに、問題点まとめて検討して作ればいいだけのように思います。

またしても(皇室典範の元では)前例がないと抵抗してますが、そもそも天皇の後継ぎは嫡子が継ぐという制度は新しい制度です。奈良時代や飛鳥時代は天皇に子供がいても弟が継ぐのが当たり前でした。天皇には権威と実務能力が必要だったので若い人よりもある程度歳をとった人が選ばれてたわけです。

上皇については歴史を持ち出して反対するのに、弟が継承することは前例があるにも関わらず皇太弟は前例がないと言って反対するのは矛盾してますよね。歴史学者は都合のいい時だけ歴史を利用するんですね。

戦前は天皇の発言力は影響があった

 

大日本帝国憲法にはこう書かれていました。

第一条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス
口語訳:大日本帝国は、万世一系の天皇が、これを統治する。

第四条 天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ
口語訳:天皇は、国の元首であって、統治権を総攬し、この憲法の条規により、これを行う。

出典:wikipedia

 

天皇が国を統治するって書いてますが、憲法の範囲内でしか発揮できないんですね。憲法には立法(議会)・行政(内閣)・司法(裁判所)の働きが決められているので、実際には天皇が直接政治をすることはできません。

じゃあ、ただの飾りかというとそうではないんですね。やっぱり”統治してる”ってことになってるので。天皇の”権威”のもとで国が動いてるんですね。

それは新政府軍そのものが天皇の権威で正当性を与えられた組織だったというのもありますし。明治の軍隊を作るときに軍が意図的に天皇の権威を利用したという事情もあります。西南戦争では陸軍が西郷隆盛のもとに集まった士族あいてに大苦戦しました。士族が強かったというのもありますが、異常に士気が高かったんですね。それを西郷というカリスマ的な精神的支えが在るからだと考えた明治政府は、天皇を日本軍の大元帥にして兵士の士気を高めたわけです。

形だけとはいえ天皇は軍隊の大元帥も兼ねることになりました。当時の天皇は軍に意見を言うことはできました。天皇の意見を聞くか聞かないかは軍や政府の勝手です。だから日清戦争や太平洋戦争など天皇が反対しても強行されることがありました。

ちなみに現在の自衛隊のトップは総理大臣です。天皇はまったく関係ないです。

その一方で太平洋戦争の終結や2・26事件の鎮圧は天皇の意見が強く影響しています。だから大日本帝国憲法や明治の皇室典範が通用する世界では天皇の影響力は多少はあったといえますね。

 

天皇が内閣を退陣させた?

歴代天皇全史 (歴史群像シリーズ )によると、明治時代には天皇にもある程度の発言力が認められていたみたいです。

明治天皇はたびたび政治に影響を与えたようです。政治が混乱したときに明治天皇が調整役をすることで政治的な対立を納めることもあったんですよ。

明治30年には松方内閣が退陣しました。実は明治天皇の指示だったといわれます。松方内閣の無能ぶりに愛想をつかした明治天皇が松方首相に退陣するように言ったというのです。

昭和4年にも当時の田中内閣が昭和天皇の叱責を受け退陣に追い込まれています。

というわけで。戦前の制度では天皇が政治に影響与えることもあったんですね。そんな影響力を持った存在が二人もいたら混乱しますよね。だから戦前の憲法や皇室典範では上皇の存在を認めてなかったのもわかります。

政府が分裂・迷走したとき天皇は調整者として示現した。

出典:歴代天皇全史 (歴史群像シリーズ )

 

現在の制度では意見を言うことすらできない

でも、現在は違います。
日本国憲法のもとでは意見を言うことすらできない象徴だけの存在になってしまいました。だから明治の政治家が心配していたようなことは起こりようがないんですね。

だって、現在の天皇陛下は国政について意見を言うことすらできないんですから。

戦前と戦後では天皇の立場は似てるようで全く違うんですね。だから明治時代の議論とは別に、現在の憲法の範囲で議論しないとおかしなことになると思います。

「そうかもしれないけど、上皇の発言を政治に利用する人が出るかもしれない」

っていう人もいますが。現在でも皇族の発言を利用する人はいますよね。
だからといって皇族全部なくすわけにはいきませんよね。政治利用する人を処分すればいいだけです。

それに退位したとしても政治活動できるわけじゃありません。天皇の時と同じように”国政に関する機能を有しない”ようにすれば問題はないはずです。退位しても国政にはかかわれない。意見も言えない。天皇にあった”国事行為”がなくなるのが上皇の姿かもしれません。

上皇が国内訪問したときに国民が混乱するという意見もありますが、それなら訪問もしない(できない)ようにすればいいんじゃないでしょうか。そもそも活動を続けるのが難しいという前提なんですから。公務を全くしない、公の場には出ない。それですむ話です。

攘夷よりも摂政の方が混乱が大きい

攘夷ではなく摂政をおくべきという意見もあります。

でも摂政の方が混乱は大きくなるんですね。

摂政というのは天皇の代わりに、天皇の仕事をこなしてる人のこと。つまり、実際の天皇と、代わりに天皇の役目を果たしている人が存在することになります。国事行為は摂政が出ることになります。

となると、名前だけの天皇と事実上の天皇の二人が存在することになるんですね。

どっちが本当の天皇?って思いませんか?
役目果たさないならなんでその地位にいるの?って国民は思いますよね。天皇制は国民の理解が必要、と考える現在の天皇陛下もそのへんを心配してると思います。

しかも摂政は権力は天皇並みにありますが、権威は天皇には及びません。現代の天皇には権力はありません。あるのは権威だけです。

天皇が政治にもあるていど関わっていた時代なら摂政は意味がありました。でも摂政はどんなに役目をこなしても代理人にすぎないです。

これでは国内を訪問したり、外国の要人が会ったときに納得するでしょうか?

一時的に代理人を立てるならともなく、ずっと代理人を続けるのは。現在のように象徴的な役目が中心の天皇制では摂政はあまり意味がないんですね。

 

空論よりも急いだほうがいいのでは

もちろん、生前退位には法律を変えたり、新しく規則を作ったり準備があると思います。政府としては、問題の多い時期にやってられないと思うかもしれません。火中の栗を拾いに行くようなことはしたくないですよね。できるだけ当たり障りのない範囲で収めたいとは思います。でも面倒だからといって、先延ばしにしても後で困るだけかもしれませんよ。

昭和天皇の再現は望んでいない?

昭和天皇が倒れて以降、昭和の終わりは日本全体が自粛ムードでした。当時はまだバブルだったので日本経済への影響はまだ少なかったと思います。今起こったら景気回復どころじゃありませんよね。天皇陛下のお言葉にはそれを心配する内容もふくまれていたと思いますよ。

天皇陛下は82歳。2016年12月23日で83歳です。昭和天皇が崩御したのが87歳のときです。新しく制度を作るなら急いだほうがいいんじゃないでしょうか。

有識者・専門家の考えは時代遅れ

生前退位には解決しないいけない課題はいくつかあります。皇室典範に書いてない部分は新しく作らないといけません。

でも有識者や専門家のいう懸念材料って今と制度が全く違う時代の話ですよね。平安時代や明治のことを持ち出してますよね。なんで現実の問題点や解決方法を考えないのか不思議です。専門家といいつつ肩書だけ立派な人集めて議論しても無駄ですよね。

机上の空論”って言葉がぴったり当てはまるような気がします。

本人たちは本気で考えてると思いますよ。でも失礼かもしれませんが、だからこそよけいにお笑しいんです・・・まさかウケねらいのために言ってるわけじゃないですよね。

マスコミはアニメやゲームオタクが犯罪をおかすとアニメやゲームと現実の区別がつかない精神のおかしい人だといいます。本当かどうかはともかくとして。その考えが成り立つなら有識者や専門家にも当てはまるんじゃないでしょうか。机の上の資料や本の世界という文字や2Dの世界にはまってて”リアル”な現実が理解できていない人。

政府の有識者会議でも著名な歴史学者が選ばれていないと問題視する意見があります。報道からわかる範囲では政府は意図的に外してるようです。歴史学者は自分の持論を主張するだけで現実的な考えができないことからあえて外したようです。歴史学者が役に立たないことは政府もわかってるんですね。

この件については立場によって様々な意見はあると思います。

でも生前退位の問題で一番感じたのは、
”お勉強”ができても役に立たない人。
学歴だけ高くて理屈を言うわりに問題解決方法を考えられない人。
そんな人はどこの世界にもいるんだなってことでした。

以上、文也でした。

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