「陰謀の中世日本史」で学ぶウソを見破る方法

陰謀の中世日本氏

 

陰謀論はいつの時代も廃れません。

呉座氏の著書「陰謀の日本中世史 (角川新書)」では日本史の陰謀論が書かれています。本のテーマは中世(平安時代後期~戦国時代)ですが、明治以降の陰謀論にも一部触れられています。

陰謀論にはいくつかのパターンがあることが紹介されています。

こちらの記事で紹介しているのでご覧ください。
陰謀の中世日本史で学ぶ「陰謀の法則」

今回の記事では、前回は書ききれなかった陰謀論の特徴について紹介します。陰謀論を知ることで、日常に溢れる情報に騙されにくくなりますよ。

陰謀論者は大げさ

陰謀論というのはたいていは大げさです。過去の説を全否定します。

「真実」という言葉を安易に使います。

でも過去を知ることは難しいです。だから謙虚な研究者は「これが真実だ」なんていいません。

でも陰謀論者は真実という言葉を乱発します。

「真実を公表することが私の使命」などと大げさなのも特徴です。本当に使命感でやってるのかはわかりません。やたらと責任感があるように振る舞います。何か布教活動をしているようにも思えます。

あまりにも自信満々なので聞いている人には騙される人もいるようです。

頭がいい人は騙される

陰謀論にひっかかるのは頭が悪いからではありません。確かに知識がないから騙されやすいというのはあると思います。

でも教養がある人も陰謀論にひっかかります。インテリ層は思い込みが激しいので騙されやすいのです。

自分の情報収集能力や知識に自信のある人ほど、初めて聞く話や考えもしなかったことを過大評価する傾向にあるのです。

頭のいい自分が知らなかったものだからすごいものに違いない。と思い込むようです。

戦後の日本で社会主義運動に熱心な高学歴者が多かったのは一部にはそのせいもあったかもしれません。オウム真理教に高学歴者が多かったのもそのせいかもしれません。

また頭のいい人は変な使命感を持ってるようですから、余計に熱心に取り組んでしまうのでしょう。

陰謀論は疑似科学と似ている

疑似科学とは科学的な雰囲気をもっているけど実は科学的な根拠がないものです。

マイナスイオン、クラスターなど。わりと身近な生活にあふれています。

疑似科学は再現できません。再現できなければ科学とはいえませんが、疑似科学はそれができません。

資料などで確認できないものでも、勝手な理屈をつくれば陰謀論はできます。

批判する側に証明を要求するのも疑似科学の特徴です。ないことを証明しろというのです。これも疑似科学が陰謀論と似ているところです。

歴史研究の世界では誰も信用できない?

著書の中で呉座氏は「学会の研究者の多くは、陰謀の研究は低級だと見下している」「プロの研究家は高尚な研究をやるべきだと思っているのだ」と書いてます。

学会では、本能寺の変の黒幕を探したり光秀の動機を探すことは後世にはなんの影響を与えない。学問的には意味はない。と思ってるようです。

では「高尚な研究」ってなんでしょうか?それはこの本では書かれていません。

この本の趣旨と違うので詳しくは書きませんが、手柄をたてようと都合のいい新説を作るのはプロもアマチュアも一緒です。現実には大学教授やプロの研究者も陰謀論をたくさん作って広めてます。中には教科書を書き換えてしまったものまであります。教科書を書き換えるくらいの変化が「高尚な研究」なのかもしれません。

呉座氏を含めた高尚な研究をしているプロの研究者は歴史教科書の内容を否定されることを嫌ってるようです。それはプロの研究者の研究結果が教科書になってるのだから当たり前です。でも歴史教科書が正しいかというと・・・怪しいところもありますね。

でも、この本で呉座氏が否定している陰謀論の中には同業者の「プロの研究者」が発表したものも含まれています。

アマチュアや作家だから信用できない。学者だから信用できるとは限らないのです。

歴史の世界では大学教授も作家もアマチュアの研究者も信用出来ないという点では同じ。違う部分があるとすればプロの研究者には権威があって自分達が偉いと信じてることです。

この本のすべてが信用できるかというとそうではありません。

客観的・科学的に説明しているように見える人がウソを言ってることもあるからです。

でも、この本で書かれている「陰謀論はどういうものなのか」を知ることは役に立ちます。

中世の本で共産主義者の陰謀を否定しようとする違和感

ただ、この本で気になるのは中世を舞台にしているにもかかわらず「共産主義者の陰謀論を否定している」ところが何度も出てくること。

確かに共産主義者(あるいはコミンテルン)が日本対アメリカ、日本対中華民国の戦争をしくんだという説を主張する人はいます。これも陰謀論のひとつです。

他にもこの本では明治以降の陰謀論にも書いてる部分があります。確かに明治から現代までも様々な陰謀論があります。それだけで一冊の本が作れるくらいです。

でもそれなら近現代史の本を作って紹介すればいいはずです。

中世を舞台にした本でコミンテルンの陰謀はなかったと書かれても、この本のテーマとはズレているので違和感を覚えました。

「陰謀論」を見破ることは現実の生活の役に立つ

「陰謀論は歴史の話」

「だから関係ない」

と思うかもしれません。

でも現実の社会にも陰謀論はあふれているんですね。

テレビ、新聞、雑誌のニュース。
健康食品、サプリ、健康法、毒物報道など。

陰謀論と同じ仕組みのウソは今の世の中にもあふれています。

テレビ・新聞・雑誌は陰謀論だらけ

身近なところにあふれる詐欺まがいの商法も陰謀論とおなじ仕組みでつくられているんです。とくに政治・経済絡みのワイドショーネタはほぼ陰謀論とおなじ仕掛けでつくられているんじゃないでしょうか。

例えば、行政機関の不祥事を大物政治家の不祥事にすり替えて報道したり。それは事実を捻じ曲げて相手の印象を悪くするプロパガンダなんですね。陰謀論と同じ仕組みです。

視聴者はもともと政治家は信用出来ないと思ってるから簡単に騙されてしまう。でもそれって何の解決にもなってません。政治家の勢力争いに利用されてるだけなんです。

「◯◯が危険、天然素材だから安心」という報道も陰謀論と同じ。もっともらしい説明が付いてますが、商売敵を陥れて自分の商品を売ろうとする業者の作戦なんです。

「自分は詐欺に引っかからないぞ」と思ってる人ほど詐欺にかかりやすいものです。自分は賢いと思ってる人は、聞いたこともない理屈や、さらに頭のいい人が考えたウソに騙されやすいんですね。

陰謀論の簡単な見破り方

陰謀論を見破る一番簡単な見破り方があります。

「◯◯の陰謀だ」と言ってる本人が一番怪しいのです。

覚えておいたほうがいいですよ。

現代のネタだと「◯◯は危険」と騒いでる本人が怪しい。ってことですね。

もちろんそれだけではすべての陰謀論を見破ることは出来ません。

陰謀論はどんな仕組みになってるのか?
なぜ信じてしまうのか?

それを知ることで現実の社会にあふれるウソに騙されにくくなります。

この本は歴史を素材にはしていますが、騙す手口はどうなってるのか知るのも役に立つと思いますよ。