MENU

韓国がGSOMIAを破棄したい本当の理由

日米韓

8月22日。韓国がGSOMIA(日韓秘密軍事情報保護協定)の破棄を発表しました。

日本の輸出管理強化への報復として実行されたものです。

しかし輸出管理強化は貿易の問題。でもGSOMIAは国の安全に関わる問題です。

ジャンルの違う問題をあえて報復手段に使ったのはなぜでしょうか?

しかもGSOMIAはアメリカが日韓を仲介して行った協定です。日韓の問題だけでなくアメリカも巻き込んだ外交問題になってしまいます。

なぜ韓国政府はそのようなリスクを犯してまでGOSOMIAの破棄を行ったのでしょうか?

文大統領の側近の曺国(チョン・グク)氏の醜聞隠しという噂もあります。でもそれは破棄発表のタイミングをずらす理由にはなってもGSOMIAそのものを破棄する理由にはなりません。そんな浅い理由で破棄したと納得していたのでは解説者として失格です。仮に本当にそんな理由で破棄したら韓国の政治家はとてつもなく愚かなことになります。(そうなのかもしれませんが)

GSOMIA破棄にはもっと深い意味があります。

日本のテレビや新聞ではあまり報道しない韓国がGSOMIAを破棄した理由を解説します。

目次

韓国がGSOMIAを破棄した理由

そもそも対抗手段がない

最大の理由としては「韓国から輸入できなかったら日本の産業界は困る!」という取引材料が韓国にはない。という事情があります。

確かに韓国はDRAMなど半導体やスマホは日本でも高いシェアを持っています。韓国製半導体が輸入できないと困る企業も出るでしょう。でも輸入できないと分かれば日本企業は台湾やアメリカから半導体を調達しようと努力します。

代わりは他にもあるのです。

しかも半導体は韓国経済を支える主要産業です。長い目で見れば韓国側のダメージの方が大きいです。

だから韓国としては輸出制限して日本を困らせたいけどそれができない。

そこで目をつけたのがGSOMIAというわけです。

韓国国民に評判の悪いGSOMIA

もともと韓国国内ではGSOMIAは評判がよくありません。

2010年ごろ。日本では民主党政権時代。韓国では李明博(イ・ミョンバク)政権のときに交渉が始まりました。ところが日本と協定を結ぼうとしていることが韓国国民に知られると猛反発を受けて交渉が中断しました。

2016年。朴槿恵(パク・クネ)政権の末期に実現しました。安倍政権時代になって北朝鮮から弾道ミサイルが頻繁に飛んでいましたし、韓国にいる脱北者の情報から拉致被害者の手がかりが得られるのではないかという期待もあったようです。

韓国ではこのときも国民の反対を受けないように大統領の署名のあとに発表するという慎重さでした。発表後は韓国国民からは反発が起こります。その後、諸般の事情で朴槿恵大統領が失脚しました。

親米的な朴槿恵、李明博そして韓国軍は北朝鮮に対抗するためにアメリカや日本との協力は必要と考えていました。アメリカから日本と協定を結びなさいと言われれば韓国としてもなかなか断れません。

でも国際情勢が理解できていない韓国国民は「日本は敵なのになぜ軍事情報を共有しなければいけないのか?」という感情があるようです。幼稚園の時から反日教育をしているのですから当然といえば当然の反応です。

韓国ではGSOMIA破棄を54.9%の国民が賛成しています。中には「国格が上がった」と喜ぶ国民もいます。国格とは国の品格という意味でしょうか?韓国ではよく漢字由来の難しい言葉を使います。漢字を書けない人たちが本当に意味を理解しているのか怪しいものです。たぶん日本やアメリカの言いなりにならない自主独立した立派な国になったと喜んでいるのでしょう。そういう国なのです。

文在寅大統領は親北派

朴槿恵政権のあと誕生したのが文在寅(ムン・ジェイン)政権。

文在寅の両親と姉は朝鮮戦争時代に北朝鮮から韓国に逃れてきました。祖母や叔母は北朝鮮に残りました。文在寅自身も若い頃は学生運動をしていました。自身は学生運動家出身。文在寅を支えるスタッフも学生運動家あがりの人がいるようです。

弁護士になったあと政治家になりました。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権(与党は親北派の民主党)時代には彼を支えるスタッフの一人になりました。

朴槿恵大統領が失脚した後、大統領になりました。彼を支える与党は親北派の「共に民主党(民主党)」。左派と呼ばれる北朝鮮や中国と親しい派閥です。

彼は朝鮮半島のリーダーとしては初代韓国大統領の李承晩(イ・スンマン)よりも金日正(キム・イルソン)に正当性があると考えています。もともと北朝鮮には親しみを持ち、南北の融和が最優先と考える人です。また財閥には批判的な人なので企業が経済的に困ってもあまり気にしません。

文大統領が北朝鮮との交流に異常に熱心なのもそのため。北朝鮮が短距離ミサイル(明らかに韓国に対する警告です)を跳ばしても反発しないのは、委員長の怒りなのだから真摯に受け止めねばと思っているからなのでしょう。

そんな文大統領にとって、日本と協力して北朝鮮の軍事力に対抗するなんてあってはなりません。彼らにとって北朝鮮は戦う相手ではありません。同胞なのです。だからGSOMIAは必要ないのです。

韓国国民の生活よりも北と仲良くすることが大事。そういう大統領ですし、そういう人物を歴史的な大差で選んだのが韓国国民です。北との融和は韓国国民の希望なのでしょう。

金委員長が望んでいる

文大統領が仲良くしたいと思っている北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長はGSOMIAの破棄を望んでいます。

北朝鮮の宣伝サイトではGSOMIAは「犯罪的共謀と結託の産物で、日本に軍国主義復活と朝鮮半島再侵略の足場を提供する売国協定、戦争協定である」とまで言っています。

また日本が韓国に対して「経済侵略で首を絞め上げ、朝鮮半島平和プロセスまで破綻させようとしている」とまで非難。韓国に日本とのGSOMIAを破棄するように求めています。

ちなみに「経済侵略」という言葉。韓国の新聞がよく使います。同類なのでしょうか?日本がやっていることは距離をおこうとしているのですから意味としては侵略の逆なのですが?漢字を廃止した国ですから漢字由来の言葉の意味がよくわかっていないようです。

よくGSOMIA破棄は北朝鮮と中国、ロシアが得するだけだから破棄させてはいけない。という意見があります。

でも文大統領は、大好きな金委員長の望むようにしたいと思っています。それが韓国政府の意思であり、半数以上の韓国国民がGSOMIA破棄を望んでいることです。だからアメリカの忠告にも従いません。日本政府が韓国国民の民意を尊重する必要はありませんが日本が韓国の意思を変えるのは無理です。

日本は親北派の民主党政権が続く間は日韓協力は諦め、別の方法で北朝鮮から国を守る方法を考えるべきではないでしょうか。

派閥が変わると意見が変わるのは李氏朝鮮時代と同じ

韓国政治で面白いのは政権与党が変わると主張が180度変わることです。敵対する政党が決めたことは何でも反対。というのが韓国のスタイル。これは李氏朝鮮時代から続く伝統です。李氏朝鮮にも重臣たちには派閥がありました。派閥が変わると正反対の政策をして前の派閥の功績を否定していました。韓国の政治は李氏朝鮮時代と変わらないのです。

日本の政治家や外交官は韓国は協定を守らないとよく言います。500年続いた李氏朝鮮の伝統が残っているのです。わずか数十年で変わるはずがありません。

だから文大統領としては敵対する派閥の朴槿恵政権が勝手に結んだGISOMIAは気に入らない。まして親愛な金委員長がお望みとあっては破棄してしまいたい。とウズウズしていたはずです。

韓国・共に民主党政権にとってGSOMIA破棄は今がチャンス

そんな文政権(与党は共に民主党)にとって日本の輸出管理強化は絶好の口実です。

GSOMIA破棄をちらつかせて日本が譲歩すればそれでいいし、譲歩しなければ破棄の理由にできます。

たとえ譲歩して今回は破棄しなくても別の日韓問題が起きればまたGSOMIA破棄をもちだして破棄しようとするでしょう。

逆にここで狼狽えたえて譲歩したら韓国の思うつぼです。いつかまたGSOMIAを持ち出して日本を脅しにかかります。

日本は狼狽えず輸出管理を続ければいい

日本はGSOMIAが破棄されたからといって譲歩する必要はありません。民主党政権が続く限りはどうせ破棄する予定のものだったのですから。

日本はしっかりと輸出管理をすればいいのです。輸出管理を続けていけば北朝鮮にも戦略物資が行きにくくなり、北朝鮮の軍事的な驚異も減ることになるからです。

関連記事
GSOMIAとは?読み方や期限、メリットを紹介

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次