8月10日。北朝鮮が新型ミサイルの実験を行いました。
北朝鮮はこれまでにも何度か新型ミサイルのテストを行っています。ロシア製イスカンデルを真似したと思われるミサイルがほとんどした。ところが8月10日に発射したミサイルは今まで見たこともないミサイルでした。
なんとアメリカ製のATACMSにそっくりなのです。
なぜ北朝鮮がアメリカのミサイルにそっくりな武器を持っているのでしょうか?
北朝鮮の新型短距離弾道ミサイル
8月11日。北朝鮮の国営朝鮮中央通信(KCNA)は11日に金正恩朝鮮労働党委員長が新型兵器の実験に立ち会ったと報道しました。
短距離弾道ミサイルと思われる2発のミサイルを北朝鮮東部沿岸から日本海に向けて発射しました。
韓国軍合同本部は10日に短距離弾道ミサイルを発射したと発表。最大高度は約8km。飛んだ距離は約400km。最大速度はマッハ6.1以上でした。
韓国軍ではこのミサイルを今年に入って何度が発射されているロシア製「イスカンデル」によく似た「KN23ミサイル」と発表しました。
ところが北朝鮮が発表した画像にはKN23ミサイルとは違うものが写っていたのです。
その姿はアメリカが開発したATACMSにそっくりでした。どうして北朝鮮がアメリカ製ミサイルによく似たものを持っているのでしょうか?形だけ真似たのでしょうか?
実はATACMSはアメリカ製ですが、韓国軍も配備しています。韓国ではATACMSを「玄武2号A」という名前で使用しているのです。
北朝鮮が8月10日に発射したと発表したミサイル。出典:ロイター通信
アメリカ軍のATACMS。出典:deagel.com website
ATACMSの射程距離は165~300km。今回北朝鮮が発射したミサイルは400km飛んだとされます。本家のATACMSを超える性能を持っていることになります。
ATACMSとは
ここでATACMSとはどんな兵器なのか紹介します。
ミサイル部分の正式名称は
MGM-140 ATACMS
ATACMSとは(Army Tactical Missile System:アメリカ軍戦術ミサイルシステム)の略称です。
アメリカのロッキドーマーチン社が製造しているミサイル。
ミサイル弾頭に沢山の小爆弾を積んで敵の上空で爆発させ、地上の広い範囲にダメージを与える兵器です。ATACMSにはいくつかのバリエーションがあります。
地上から発射して地上の目標を狙う「地対地ミサイル」。アメリカ軍は1991年の湾岸戦争、イラク戦争でも使用しました。
Block I
別名:M39
一発のミサイルに950個の小爆弾が入っています。射程165km。
採用国:アメリカ、韓国、ギリシャ
Block IA
別名:M39A1
一発のミサイルに小爆弾を275個に減らして射程を伸ばしています。射程290~300km。
人やトラックなど装甲がない車両を破壊するために使用します。
採用国:アメリカ、バーレーン、トルコ、韓国
Block II
別名:M39A2
13個のBAT小爆弾を装備。射程140km。小爆弾の数は減りましたが、移動している装甲車両の破壊が可能。
採用国:アメリカ
ATACMS-P
別名: M39A3
弾頭に貫通弾(EPW)を装備。地中深くにある施設の破壊が可能です。
有効射程は220km。
採用国:アメリカ
Block IA Unitary
別名:M57
小爆弾ではなく500ポンド(227kg)の弾頭を装備。施設や要塞など硬い目標を破壊するために使われます。
射程は300km。
2003年のイラク戦争でテストが行れました。現在は実戦配備が行われています。
採用国:アメリカ、台湾、UAE
近代化ATACMS
別名:M57A1
M57の改良型
2016年から配備中。射程が450kmに延長されました。
2018年からは既存のミサイルを改修予定。
採用国:アメリカ
韓国軍のATACMSの技術が流出か?
ATACMSのブロック1と1Aは韓国軍も持っています。ミサイルに使う弾薬など一部の技術は韓国国内でライセンス生産もしています。
となると。
「北朝鮮がATACMSにそっくりなミサイルを持っているのは、韓国から技術が流れたのではないか?」
という疑惑が出てきます。
しかも韓国軍はこのミサイルをロシア製ミサイル「イスカンデル」の北朝鮮版と発表しました。韓国としてはATACMSにそっくりなミサイルが北にあるのを認めたくなかったのかもしれません。
もちろん、たまたま形が似ていた。とか北が独自に真似したという可能性もあります。
韓国は北に物資を横流しして「瀬取り」をしています。北と南のつながりを考えると韓国が持っている軍事技術が北朝鮮に流れても不思議ではありません。
既にアメリカは韓国に最新性のステルス戦闘機F-35を売ることを決めて言います。このままだとアメリカのステルス技術が北朝鮮に流れてしまうかもしれません。
そうならないことを願うばかりですが。今の韓国ならありそうなところが怖いところです。
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