日本では「有機JAS」という制度があります。国が決めた有機野菜の規格です。でも無農薬野菜の規格ではありません。「有機JAS」マークの付いた農作物だからといって農薬を使っていないとは限りません。
有機JASとはいったい何なのでしょうか?意外と知られていない有機JASの正体について紹介します。
有機野菜のルール 有機JAS規格 とは
有機野菜と無農薬野菜は本当は同じものではありません。でも世間では誤解されて広まっています。しかも一度広まった誤解は消えません。
漠然とした有機野菜のイメージだけが流行していました。
そこで
2000年。日本農林規格 (JAS) が改正され、有機野菜はこういうものだという規則ができました。
それが有機JAS規格です。
この規格に合格した農作物には有機JASマークが付いて売られています。
有機JAS規格では農作物・加工食品・資料・畜産物について規則があります。
この中で農作物の規格にはこう書かれています。
有機農産物の農林規格 第2条
(1) 化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避ける ことを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力(中略)を発揮させる とともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用したほ場 において生産すること。
(2) 採取場において、採取場の生態系 の維持に支障を生じない方法により採取すること。
採取場=農場や牧場と考えてください。
ただし、この規格で注意しなければいけない部分があります。
「農薬の使用を避ける ことを基本として」と書いてますね。「農薬の使用を認めない」ではないのです。
つまり。
有機JAS規格では
「農薬を禁止しているわけではない」のです。
それもそのはずです。有機農作物を作るための規格だからです。無農薬農作物の規格ではありません。
できれば農薬は減らしたほうがいいけど、ゼロにするのは現実的にかなり難しい。健康と環境と生産の手間とコストを考えた時「ぎりぎりここまでなら農薬を使ってもいい」と決めたのです。
だから有機JASに合格した野菜を「オーガニック野菜」として売るのはOKですが、「無農薬野菜」として売ったら法律違反になります。
有機JASは無農薬野菜の規格ではないのです。
法律をみてもわかるように有機野菜=無農薬ではありません。あくまでも有機的な肥料を使って できるだけ 自然への負荷を減らして作っている。という農作物なんです。
つまり。お店で売られている有機野菜も「農薬がゼロ」とは限らないのです。
もちろんできるだけ化学農薬は使わないように農薬が他から入らないようにと決められています。使える農薬は「除虫菊から抽出したもの」だったり天然に近いものや、毒性の低いものが選ばれています。農薬が使われているからと言って気にすることはないでしょう。
消費者の心理からすると「全てを無農薬にすればいいのに」と思うかもしれません。でもそれを現代の地球で行うのはむりがあります。食べ物が足りない人が今以上に出てくるからです。そうなると値段も高くなります。少なくとも今の地球では無農薬農作物は金持ちの贅沢品なんですね。
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