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じゃがいもで食中毒にならない方法

じゃがいも

じゃがいもを食べて食中毒になった。

という話を時々聞きます。先日も兵庫県の小学校でじゃがいもを食べて食中毒になったというニュースが話題になりました。過去にも日本各地で校内で栽培したじゃがいもを食べて食中毒になった事件が何度か報告されています。

「学校で育てたじゃがいもを食べただけなのにナゼ?」と思うかもしれません。

でもじゃがいもには毒が含まれているのを知っている人はあまりいないようです。実はじゃがいもは育て方によっては危険な植物になる可能性があるのです。

じゃがいもの危険性とどうすれば毒がなくなるのか紹介します。

目次

じゃがいもには毒がある

意外と知られていませんがじゃがいもには毒があります。

ちょっと料理に詳しい方なら「じゃがいもの芽には毒がある」は常識でしょう。

じゃがいもの芽にはソラニンチャコニンという毒物が含まれています。

ソラニンやチャコニンは糖とアルカロイドが合体した成分。

糖の主成分はグルコースガラクトースなど。
アルカロイドの主成分はソラジニンです。

糖とアルカロイドの組み合わせによってソラニンやチャコニンと呼ばれる化学物質になります。また構造の違いによってα(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)と名前が変わることもあります。じゃがいもによく含まれているのはα-ソラニンとα-チャコニンです。

ソラニンやチャコニンの毒性

人間がソラニンやチャコニンをとると、吐き気やおう吐、下痢、腹痛、頭痛、めまいがおこります。主に動物の神経の働きを妨害して動物がまともに動けないようにしているのです。

重症になると、眠気、無気力、錯乱、衰弱などがおこります。

国際的な組織・FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)の発表によると。

ソラニンやチャコニンは体重50kgの人なら50mgを摂取すると症状が出る。150~300mg摂取すると死亡する可能性があるとされます。

体重1kgあたり1mgで症状が出る。1.5~3mgで死亡の可能性があるのです。

でも小学生の場合は大人より抵抗力が低いので。体重1kgあたり0.42mgで症状が出るといわれます。

体重30kgの子供なら12mg摂取すれば症状が出ることになります。

過去の事例では
2015年に奈良県の小学校でおきた食中毒では、じゃがいも100gあたり19~39mgのソラニンが含まれていました。食べた児童51人中31人が吐き気、腹痛等の症状が出ました。

2010年に東京の中学校でおきた食中毒では、100gあたり40mgのソラニンやチャコニンが含まれていました。食べた生徒29人中9名に気分が悪い、嘔吐、頭痛の症状が出ました。

幸いにも死者が出ることはありませんでしたが、その数倍の量を食べていれば死者が出た可能性もあります。

じゃがいもとはいえ育て方によっては危険な植物になることもあるのです。

なぜ野菜に毒が含まれているの?

毒物と言うと人間が作った化学物質と思っている人が多いかもしれません。でも自然界には毒物がごく普通にあふれています。

植物は自分たちが成長して子孫を増やすために生きています。動物に食べられるために存在しているわけではありません。だから大事な部分は動物に食べられないように守ろうとします。

でも動けない植物が身を守る方法は限られます。そこで植物は「毒」という武器を自分で作って身を守っているのです。

植物の持つ毒は動物に食べられないための武器なのです。

野菜も植物です。だから毒を持っているのです。長い年月の間に品種改良されて毒が弱まっている野菜も多いです。まだまだ野生時代の毒が残っている植物は意外と多いのです。

ソラニンやチャコニンの食中毒を防ぐ方法

毒が含まれている部分

・じゃがいものには毒が含まれています。
・芽が出ていなくても、皮が緑になっている部分には毒が含まれています。
・成長途中の小さなじゃがいもには芋にもソラニンやチャコニンが多く含まれています。
苦い部分はソラニンやチャコニンが多い部分です。

毒ができやすい環境

・じゃがいもは光(紫外線)にあたると緑色に変色します。
・気温が20℃を超えると発芽しやすくなります。

対策

育てるとき

・ 栽培するときには芋が地上に出ないように土をかぶせてきましょう。
・できるだけ成長させて芋を大きくしましょう。小さい未成熟なものは収穫しない。収穫しても食べないようにしましょう。
・できるだけ芋に傷をつけないようにしましょう。傷がつくとじゃがいもは身を守ろうとして毒を作り始めます。

保管するとき

・収穫した後も日光や紫外線(蛍光灯など人工の光も含む)に当たらないように暗くて涼しいところに保管しましょう。冷蔵庫に保管する必要はありません。
・収穫したら早めに食べましょう。
・水分があると発芽しやすくなるので水につけない。洗った後は水分を拭き取って暗くて風通しの良い頃で乾かしましょう。

調理するとき

・芽は全て取り除きましょう。
・緑色の皮も取り除きましょう。
・毒は皮の部分に多いです。変色していないじゃがいもでもできれば皮は取り除いて食べましょう。
・じゃがいもの毒は熱に強く、水にはあまり溶けません。洗ったり、火を通しても毒はほとんど減りません。

ソラニンやチャコニンは170℃で分解するとの報告がありますが、160℃以上になるとじゃがいもは焦げ始めてアクリルアミドができます。加熱でソラニンやチャコニンを減らすことはできません。

自然は甘くない

授業として植物を育てるのは良いことだとは思いますが。毒性や危険性も十分理解した上でするべきです。

「自然だから安心安全」

と思うのは大きな間違いです。むしろ自然界の植物は様々な毒を使って身を守っています。

十分な知識もなしに自分で育てたり、生えているものを獲ったりして食べるのはやめたほうがいいですね。

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