ゴジラ・キング オブ ザ モンスターズを観た感想

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映画「ゴジラ・キング オブ ザ モンスターズ」を観てきました。
今回のゴジラはアメリカのワーナーブラザースが造りました。2014年公開のゴジラ(2014)の続編です。アメリカで造られたゴジラ映画としては3作目。アメリカ人が造ったゴジラ映画は面白いのか?と気になるところです。
結論をいうと「今回の映画は面白い!」と感じました。

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アメリカで造ったゴジラ映画は面白いのか?

キリスト教の価値観を打ち破れるか?

ゴジラに限らず日本の作品をアメリカで作るとどうしても「これは違う」というものになってしまいがちです。文化や考え方が違うのですから当然です。

とくにアメリカでは人間が人間以外のモノに負けてはいけません。人間はすべての生物の頂点に立つ生き物だから。キリスト教では神が生物の支配者として創造したのが人間だからです。だから異物は人間に倒される運命にあります。

日本では文化の違いと簡単に言いますが、実は宗教観の違いでもあるんです。

だから最初にアメリカで造られたゴジラ(1998)はゴジラは大きいだけの爬虫類。最後は戦闘機のミサイル(現実に存在する通常兵器)で倒されてしまいました。アメリカにありがちなただのパニック映画でした。もちろん評判はよくありません。ラストを見ると続きが作れそうな内容になってましたが、アメリカでのゴジラ映画はしばらくストップしてしまいます。

次にゴジラがアメリカで公開されたのは2014年。渡辺謙が出演ということで封切り前は注目を集めました。このときのゴジラは人間の敵か味方かわからない。人間では倒せない。他の怪獣と戦って倒す。結果的に平和が訪れる。と、あるていど日本のゴジラに近い描かれ方をしています。

日本映画にはないスケールの大きさ。「実際に巨大生物がいたらこんな感じになるのではないとか」いうリアルさが好きでしたね。「人の意思ではどうにもならないものに人間が翻弄される」。子供向けヒーロー映画になった日本のゴジラにはない感覚でした。ある意味1954年公開の最初のゴジラに近い雰囲気があると思います。

今回の映画はそのゴジラ(2014)の直接の続編です。

今回の映画は続編で制作会社が同じといっても、監督・脚本はゴジラ2014とは違います。今回の監督・脚本はマイケル・ドハティ。X-MEN2で脚本を担当した人です。ドハティ氏は子供の頃からゴジラ映画を観ていたそうなので、何も知らないアメリカ人よりはゴジラへの理解は高そうです。

巨大感の演出が凄い

ゴジラ2014と今作に共通しているのはCGで描かれる怪獣の巨大感が凄いこと。「何百メートルあるんだ?」というくらい大きいです。下から見上げるシーンが多く巨大感の表現も上手です。この巨大感はぬいぐるみを使って撮影している日本の怪獣映画ではなかなか表現されていません。

それでも「三大怪獣地球最大の決戦」以前の初期のゴジラ映画は見上げるシーンがあったり、遠くにいるときは霞んでいたりしてうまく巨大感を演出していました。低予算で作っていた昭和後期のゴジラ映画はともかく、技術が進化しているはずの平成ゴジラ映画のほうが巨大感の演出が下手なのは不思議です。

なので久々に巨大感あふれる怪獣は新鮮です。何百メートルもある巨大建築物あふれる現代でも怪獣の巨大感は演出できる。というのを改めて思い知らされました。

街の破壊が徹底している

当然、巨大な怪獣同士が街中かで戦うと街が破壊されます。この表現もリアルです。ミニチュアの建物が壊れるだけだった日本の怪獣映画とは違う徹底した破壊ぶりです。巨大な怪獣同士が戦うと街が瓦礫の山になってしまう。怪獣が戦った後はまるで戦争の後か震災後の有様です。劇中の軍や家族を殺された人が「怪獣は殺せ」という気持ちは分かります。

日本のゴジラ映画では最初のゴジラ1954だけがもっていた「怪獣の恐さ」が表現されています。「シン・ゴジラ」も街の破壊はしていました。あれはあれで面白かったですが方向性の違う映画なので未知の生物の恐さは感じません。他にはガメラ3が似たような視点で描かれていましたね。今回のゴジラもガメラ3のガメラも「人間のために戦っているのではない地球環境のために戦っている」という点では似ています。

今回の映画では地球の生態系のバランスをとるために怪獣は必要な存在。だから怪獣は殺せないというのが渡辺謙演じる芹沢博士たち科学者の言い分です。

製作者も怪獣は自然の驚異を表現した存在だとコメントしています。アメリカでもこういう発想の人はいるんだなと思いました。むしろ現代の日本人の方が自然の恐さを忘れている気がします(これだけ自然災害にあっているにもかかわらず)。

ゴジラはエンターテイメント作品だ

製作者自ら「ポップコーン映画だ」と語るとおり「ゴジラ・キング オブ ザ モンスターズ」には難しい理屈もメッセージもありません。一応「怪獣は自然環境を守る存在」という設定はあります。でも気にしなくても問題ありません。人間優位のキリスト教社会で「人間でない生き物(=ゴジラ)を人間が殺さない(殺せない)理由」が必要だからです。

だからこの作品にメッセージ性はありません。

それよりも巨大生物のアクションを楽しむ娯楽映画何だと思います。難しいことを考えずに、ひととき現実離れした世界で爽快感・楽しみを味わう。そんなエンターテイメントな作品を目指してるんだなと思いました。

日本でエンタメというとお笑いか芸能ネタになってしまいます。日本にはエンターテイメントは根付いてないと思います。だから日本では怪獣映画は子供向けかオタク向けになってしまいます。「ゴジラ・キング オブ ザ モンスターズ」が日本で受けるかと言われれば難しいかもしれません。

こういう作品は見る側にも想像力が求められますし懐の広さが求められます。嘘だとわかってる、騙されてると分かっる。でも面白いからそれを楽しむ。アメリカの「マジック」や「ショービジネス」と似た雰囲気があります。スターウォーズやアベンジャーズみたいな空想映画を大金を投じて作って大人も見に行くのはエンターテイメントだからです。想像を楽しむことができる人じゃないと面白いとは感じないでしょう。

だからそういうものを理解するのは日本人には難しいかもしれないです。

もちろん日本の怪獣映画も面白いです。B級感あふれるチープさも味わいがあっていいです(やってるほうは真剣だと思いますが)。それが面白いんです。

でもたまにはこういうスケールの大きな怪獣映画があっても面白いと思いました。

次回はいよいよキングコングと対決?

すでに次回作は決定します。「Godzilla vs. Kong」が2020年公開予定。「ゴジラ(2014)「ゴジラキングオブモンスターズ(2019)」は「キングコング:髑髏島の巨神(2017)」と同じ世界観でつくられています。日米を代表する怪獣が次回作でいよいよ対決です。さらに今作で怪獣を復活させていたテロリストは生き残ってギドラの死体を手に入れました。これがどう関わってくるのか?次回作も楽しみです。

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