戌年に読みたい犬漫画「銀牙・流れ星銀」

読書
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戌年ですね。

戌年に読みたい漫画といえば、犬の漫画。

戌年だからこそ読みたい、犬が主人公の漫画があります。それは。

銀牙・流れ星銀

という漫画。

日本いや世界でも珍しい、犬が主人公の漫画です。

主人公のパートナーとして犬が活躍する漫画はいくつかあります。でもそんなものじゃないです。

犬そのものが主人公なんです。

作者の高橋よしひろ氏は「白い戦士ヤマト」で闘犬の漫画を描きました。そのときはほぼ、人から見た視点で描かれていました。でも銀牙シリーズはかなりの部分を犬視点で描いてます。

銀牙と聞くと、若いファンの間にはWEED(ウィード)のお父さん、オリオンのお祖父さん。のイメージがあるかもしれません。

ウィードやオリオンがあるのも銀牙のおかげ。

銀牙がヒットしなければウィードやオリオンの漫画もなかったでしょう。
現在は銀牙THELASTWARSが発売されてる息のながいシリーズ。その最初の話です。

 

全ての犬漫画の原点。

銀牙について登場人物(動物含む)と設定を紹介します。

 

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銀牙・流れ星銀の設定

この漫画も歴史が古いので、最初のコミックや様々な形で製本化されています。今、手元にあるのは集英社文庫版。コンパクトにまとめられて絵や文字が小さいのですが、話は全てそろってるので手っ取り早く話を知りたい人にはおススメ。

銀牙を知らない人のために説明します。既に知ってるよという人は読み飛ばしてください。

時代設定

銀河の連載開始が昭和58年でした。「銀牙伝説リキ」では銀の父・リキが産まれたのが昭和50年とされています。銀牙の舞台は昭和50年代後半。1980年代なのでしょう。物語の開始は1986年ごろだと思います。

「銀牙伝説リキ」で昭和49年に58歳だった竹田五兵衛が、「銀牙・流れ星銀」で67歳と紹介されているからです。

主な舞台

最初の物語・赤カブト編で最終決戦の場になるのが奥羽山脈にある二子峠。

奥羽山脈のほぼ中央に位置する栗駒山。栗駒山から北西に連なる峰を切断するようにあるのが二子峠と紹介されています。秋田県と岩手県の県境にあるようです。二子峠の所有者は竹田五兵衛というマタギ(猟師)のお爺さん。でも人を襲う凶暴な熊に占領されています。

大輔や五兵衛たち主要人物が住んでるのは秋田県東鳴瀬村。冬はスキー客が訪れる山間部の村です。架空の村のようです。

作者の高橋よしひろ氏が秋田県東成瀬村出身。どうやら東成瀬村をモデルにしているようです。

ちなみにこの漫画に出てくる犬たちは都道府県名を知ってる者もいるようですが、「陸奥」「甲斐」などと旧国名で話すことが多いです。犬たちの台詞には「秋田」という言葉はでてきません。「奥羽」です。四国と九州は旧国名すらなくひとくくり。

主な登場人物(犬、熊含む)

秋田犬のオス。
父:リキ、母:富士。
秋田県東成瀬村の藤原家で誕生。

秋田犬には珍しい銀色の虎毛(まだら模様)。舞台になった村では虎毛の秋田犬は良い熊犬になると信じられています。

当時最高の熊犬だったリキの息子。熊犬とは熊の猟を得意とする猟犬です。

大輔の家で生まれましたが、猟師の竹田五兵衛に引き取られました。熊犬となるべく育てられます。父から受け継いだ天性の能力と、ほぼ虐待といえる五兵衛のスパルタ教育のおかげで一年足らずで熊と戦える犬になりました。

最初は五兵衛に育てられますが、五兵衛が赤カブトにやられて負傷後は大輔と行動を共にします。野犬の群れ(奥羽軍)と出会ってからは、家出して群れに加わります。赤カブトを倒したあとは、リキのあとを継いで奥羽軍の総大将になります。

ウィードの親です。

リキ

秋田犬のオス。
父:シロ、母:ヤマブキ
秋田県東成瀬村の備前家で誕生。

赤毛。竹田五兵衛の所有する熊犬。最後の熊犬といわれます。

産まれた頃は体が小さく、そぐなり(ダメなやつ)とよばれました。猟師経験の長い五兵衛もリキの素質を見抜けなかったほど。甘えん坊でしたが、父・シロとの出会いで強くなろうと決心。岩手県水沢と秋田県を100kmを往復するうちに体が鍛えられます。父・シロを赤カブトの戦いで失ったあとは五兵衛のもとで熊犬になります。

しかし赤カブトとの戦いで自らも負傷して記憶喪失になります。記憶を失いつつも赤カブトを倒す指名だけは忘れず野犬を集め奥羽軍を結成。後に銀たちも加わり、赤カブト軍団を倒します。最後の戦いで致命傷を受け死亡。伝説の犬となります。

 

赤カブト

熊(種別不明)のオス

秋田県では鬼首、青森県では栗毛と呼ばれていました。
本州に生息する熊ですが、ツキノワグマよりも大きく、ヒグマ並に大きい。頭から背中に赤い毛が生えています。大きさと毛の色からヒグマの突然変異だったのかもしれません。一撃で牛を倒す力を持ちます。

昭和49年に二子峠に出没。以後、岩手や秋田で人や家畜を襲います。

昭和53年。栗駒岳に出没して山小屋を襲撃。竹田五兵衛とシロらと戦い負傷。このときの傷がもとで更に凶暴化。冬眠する習性を亡くし餌を求めて常に徘徊。人間の倍以上の背丈を誇る怪物になります。

各地の熊を集め、赤カブト軍団を結成。二子峠付近をナワバリにしますが、銀、リキたち犬軍団と竹田五兵衛によって討ち取られます。

 

竹田五兵衛

秋田県東成瀬村在住。
職業は猟師。
昭和49年(1974年)当時で58歳。大正5年(1916年)産まれ?
67歳になっても30貫(112.5kg)の熊を一人で担いで戻ってくるという豪傑。
とくに熊狩りを得意にしています。

二子峠周辺の土地の所有者だったことが赤カブト編のラストで明かされます。

村で唯一の熊犬の所有者。シロ、リキ、銀の飼い主。猟犬の育成方針はスパルタ。現代人が見ると虐待にしか見えません。

ドブロクを作って税務署に注意されたことがあるらしいです。

銀、リキ達が赤カブト軍団を倒したあと、自分の所有地である二子峠周辺を犬のために開放します。銀牙・流れ星銀(原作)の最終回では病に倒れ他界。五兵衛の出棺を銀たち犬軍団が見送る場面で終わります。

五兵衛が狩りで愛用するのは村田銃という旧式の銃。明治13年(1880年)に日本陸軍に採用された国産銃。旧式になったあとは民間に払い下げられ猟師によって使われました。現代ではほとんど使われることはありませんが、老猟師の使う旧式銃の代表として物語に登場します。時代遅れの象徴のようになっています。

 

藤原大輔

秋田県東成瀬村在住の小学生。
実家は「民宿藤原」を経営しています。

銀の母犬・富士の飼い主。銀が五兵衛に貰われるまでは世話をしていました。五兵衛に貰われたあとも気になって見に行ってます。五兵衛が負傷後は銀のパートナーとなり共に赤カブトに立ち向かいます。アーチェリー用の洋弓を使って赤カブトを倒そうとします。

物語の最初では主人公的存在。銀たち犬は人から見た視点で描かれています。本来は大輔と銀がともに成長して赤カブトを倒す構想だったのでしょう。いつのまにか犬視点で物語が進むようになり、大輔の出番もなくなります。

WEEDでは大学生になった大輔が登場します。

 

「銀牙・流れ星銀」は犬たちが意思を持ち、言葉を話し、自分たちの考えで生きている世界です。漫画の犬社会は人間関係の縮図のようになってます。中には残酷な場面もありますが、野生で生きるというのはそういうことなのだと思います。でも、少年漫画らしく人間以上に人間的だったりもします。

犬は愛玩動物。単にかわいい生き物だと思ってる人には読んで欲しいですね。

 


銀牙 全10巻完結(集英社文庫)

 

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