理神論:フリーメイソンと神の不思議な関係

フリーメイソン

フリーメイソンってなんでしょうか?秘密結社?慈善団体?

世界的に有名なのにこれほどよくわからない俗説が広まってる団体も珍しいと思います。

フリーメイソンを理解するために必要なのは「理神論」という考えです。

理神論とは神は信じるけれども宗教とは違う考え方です。

日本では理神論って知ってる人は少ないと思います。

僕も橋本大三郎氏の書いた本を読んで知りました。もともとはフリーメイソンのことを知りたくて読んだ本です。理神論という考え方がなかなか興味深かったので理神論について紹介します。

フリーメイソン 秘密結社の社会学 (小学館新書)

 

フリーメイソン・秘密結社の社会学

著者は橋爪大三郎氏。東大時代は学生運動をやってたようです。その後マルクス主義に疑問をもち後に社会学者になったという経歴の持ち主。宗教関係の著書も多いです。自身はプロテスタント系(ルター派)クリスチャン。

この本が他のフリーメイソン本と根本的に違っているのは「キリスト教との関係」からフリーメイソンを語ってる点。

どういう考えの持ち主が集まって何をしようとしたのか。

という点を宗教の面から解説しています。

陰謀団体という結論があって、そこに都合のいい情報をあてはめていく他のフリーメイソン本とは違ってますね。

フリーメイソンの理解に必要な理神論とは

橋爪氏は「理神論」を理解しなければフリーメイソンは理解できないといいます。

「理神論」は日本人には馴染みがありません。

理神論の考え方はこうです。

1.神が世界を創造した。
2.神がこの世界を支配している。
3.神が人間に理性を与えた。
4.人間は理性を通して神を理解できる。

1と2だけを見るとキリスト教と同じじゃないかと思いますよね。

神はこの世界を造ったけれども、この世界には存在しません。世界の外にいて我々人間を見ているのです。いってみればこの世界は「神の造った箱庭」。人間や動物は箱庭で暮らしていることになります。

箱庭で暮らしている人間は箱庭の外にいる神を見ることはできません。でも世界の外にいます。

と考えるのが理神論。

これとは逆に「神はこの世界のいたるところに存在している」という考え方もあります。汎神論といいます。神道でいうと、造化の神(天御中主神:世界を造ったけれどもその後はどこにいるのかわからない)はともかく、少なくとも高天原の天津神と国津神は汎神論ですね。

人間や動物だけでなく星も大地も自然界にあるもの全てを神が造りました。
この世界は神の作ったルールで動いています。
神の作ったルールが「自然の法則」。

つまり神は見ることはできないけれど、自然の法則を理解することで神のの存在を知ることができます。

理神論では神の命令を代行する天使はいません。神の言葉を伝える預言者も必要ない。神のこの世界での代行者を名乗る教会も必要ありません。

ただ世界とルール(自然法則)を造った神が存在するだけです。

神といっても宗教の神とはかなり違います。

この世界や法則を造った何か。といえるかもしれません。

こうした考えは欧米の科学者には理解しやすいでしょう。

理屈としての存在だからです。

逆に唯物主義の日本の科学者には理解できないかもしれません。

神を信じるけど宗教とは違う

理神論はキリスト教会や宗教関係者にとっては危険な思想に思えるかもしれません。

自然の法則を解き明かすことで神の意思を知ることができる。教会がなんといおうと自然科学は正しい。

日本人は理解できないかもしれませんが、宗教と自然科学はずっと対立してきました。自然科学を研究すればするほど聖書と違うことが出てくるからです。科学者たちは教会から弾圧をうけました。でも19世紀に入ると教会も科学の正しさを認めることになります。

地球は太陽の周囲を回り、太陽も世界の中心ではない銀河系の端っこにある天体であることがわかりました。人間は神が造った特別な存在ではなく、原始的な生物が進化したもの。つまり自然の法則の中で生まれたものだとわかりました。

もはや世の中の成り立ちは聖書では説明できないのは宗教関係者も認めるしかありません。

しかし理神論者はそれ以上に宗教を攻撃はしません。宗教は宗教。理神論は理神論です。個人がどんな宗教を信じるかは自由なのです。

科学文明の発達した欧米では理神論が宗教と並ぶ大きな要素になりました。

・信仰の対象としての宗教。
・現実社会を生きるための考え方としての理神論。

この二つが存在しているのが欧米の社会のようです。

アメリカ人は何かが起きると「オー・マイ・ゴッド」と言いますが、イエスに助けを求めたりはしません。ゴッドと言っても教会の権威とは別なもの。世界を見守っているであろう、大きな存在に対して言っているのです。

日本では宗教と科学の対立がありませんでした。だからこのような考え方もなかなかわかりにくいと思います。

理神論者=フリーメイソンではない

フリーメイソンを理解するのに必要なのが「理神論」。

ではフリーメイソンが理神論を広めたのでしょうか?

違います。

理神論を信じる人達の一部が作った団体がフリーメイソンなのです。

現代につながるフリーメイソン(この記事では近代フリーメイソンと呼びます)ができたのは18世紀。

近代フリーメイソンができる前から既に理神論はありました。

フリーメイソンは理神論者です。でも理神論者の全てがフリーメイソンではありません。

「人間は哺乳類」でも「哺乳類の全てが人間ではありません」それと同じです。
両方を一緒にしてはいけません。ウソを言ってることになります。

他に理神論を信じる団体にはユニタリアンというキリスト教の一派があります。こちらは宗教団体です。フリーメイソンとは別の団体。関係はありません。

「考え方が似ている」と「組織が同じ」は別物です。
両方を一緒にしてはいけません。ウソを言ってることになります。

フリーメイソンには陰謀論のネタにされることが多いのですが。その大半が無知と勘違い、あるいは意図的な情報の捏造になるものです。ここを間違えると陰謀論のワナに引っかかってしまいます。

さて、次回はフリーメイソンという組織について書いてみたいと思います。

「フリーメイソン 秘密結社の社会学」にみるフリーメイソンの姿