健康保険組合の任意継続をすると、国民健康保険(国保)よりも保険料が安くなる事はお話しました。
参考記事:任意継続はどうして得なのか
任意継続をする場合には注意しなければならないことはあります。 今回はそれをお話します。
任意継続の注意点
加入期間は2年まで
任意継続できる期間には限りがあります。
任意継続はあくまでも暫定的な措置だからです。
ですから最長でも2年間しか加入できません。
その間、他の会社に就職できればその会社で別の健康保険に入る事になるので任意継続はそこで終わります。
就職できなかった(しなかった)場合は国民健康保険に加入する事になります。
任意継続は保険料が二年間変わらない
普通、健康保険料は毎年変わります。
前年度の所得を元に計算するからです。
でも任意継続の場合は辞めたときの前年の所得で計算した保険料が2年間適用されます。 という事は保険料が安くなるのは退職後1年目だけの可能性があります。
では、なぜ2年目で逆転してしまうのか考えてみましょう。 退職して1年目は収入がなかった場合を想定します。
国民健康保険は収入がないと保険料も安くなります。
でも、任意継続は働いていたときに計算された保険料を引き続き支払わなければなりません。 退職して1年目は収入がなかったにもかかわらず、収入があった事になってしまうのです。
実際には年度の途中で退職したら収入があった月となかった月が存在するので、年間を通して収入がない事にはならないのですが。年間所得が少なくなるのは間違いありません。
ですから2年目のことも考えてどちらが得か選んだほうがよいです。
でも、先のことは分かりませんよね。
所得証明は毎年6月に新年度分が発行されます。
それを見てどちらが得か判断してからでも遅くはないと思います。
とりあえずは任意継続を選択しておいて後で国保に切り替える方法もあります。 任意継続期間は国保に切り替えたいからと言って辞める事は出来ない事になってます。
でも、期限が残っていても健康保険料を払わなければ自動的に資格を失います。つまり任意継続を辞めさせられるのです。 途中で辞めても納めた保険料は返しません、という意味くらいにとらえて置いたほうがいいと思います。
だからまだ納めていない期間については選択の余地があります。
保険料の納め方は毎月納める以外に、半年分前払い、1年分前払いの三つの方法があります。前納といいます。 前もって納めてある場合は死亡、再就職以外、後期高齢者になった場合以外で辞める事はできません。
毎月収める方法にしておけば辞めたいと思えば翌月からでも辞める事はできます。そのかわり、納入期限を1日でも過ぎると自動的に資格を失って脱退扱いになります。つまり、辞めたくないけど辞めさせられる可能性も高くなります。
半年分、一年分の前納にしておけば納め忘れの可能性が低くなるかもしれません。 でも、いつでも辞めるというわけにはいかなくなります。
どちらがいいかよく考えて加入しましょう。
僕の場合は半年分の前納にしています。毎月収めに行くのは面倒だけれども、半年であれば高くなっても我慢できると判断しての事です。
退職から20日以内に手続きしないと加入できない
任意継続の手続きを行うためには期限があります。 ゆっくりしている時間はありません。 退職後に考えてる暇はないのです。
健康保険の被保険者としての資格を失った日(普通はあなたの退職日です)から20日以内に手続きを行う必要があります。
不安な場合は、会社に保険者としての資格を失うのは何月何日か確認してください。 もし20日目が休日の場合は翌営業日になります。
書類を郵送する場合はそれまでに必着させなければなりません。
かなり日数があるように思えますが、実際にはぎりぎりの感覚です。
任意継続にはいくつか書類を用意して送らなければなりません。 書類に不備があったら再度送りなおす事も必要になります。 手続きには役所で発行してもらう書類が必要になります。 役所も保険組合も平日しか受け付けてくれません。
20日なんかあっという間に過ぎてしまいます。
僕の場合は被扶養者の手続きも行いましたが、途中で書類を送りなおしたりしたのでぎりぎりでした。
なので、退職した次の日からスタートダッシュで任意継続の手続きをするくらいの予定でいてください。
僕の感覚では、国民年金やハローワークの手続きよりもこちらの手続きを優先して進めるべきだと思います。
失業保険の手続きには離職票がいりますが、それが届くのは退職から数日かかります。国民年金は少しくらい遅れてもなんとかなります。
もっとも期限が厳しいのが任意継続です。
もちろん全て同時に出来ればいいのですが。無理な場合は任意継続を真っ先に手続きしてください。
そのためにも退職するまでに国民健康保険に入るか任意継続するか決めておかなくてはならないのです。
でも、だからと言って退職する前に書類を提出しても受け取ってもらえません。
同じ人に重複して保険証を発行するのを防ぐためです。
退職した後に出してください。
保険証を返す前に保険証番号を控えておく
任意継続の手続きをするときに、会社で使っていた時の保険証番号を記入しないといけません。
健保組合としては送られてきた書類にその番号があることで、あなたが健保組合の利用者だったという事がわかります。 返してしまったら番号が分からなくなるので、返す前に番号を控えておいてください。
最悪の場合、退職した後で会社に問い合わせることも出来るかもしれませんが退職した後では会社に聞きにくいですよね。
親切な会社であれば会社から受け取る書類にあらかじめ番号が記入されていることはあります。でも、それを期待してはいけません。
このご時勢、辞めていく人間にどれほど会社が気にかけるでしょうか。 自分の事は自分でする覚悟が必要です。
任意継続に必要な書類は会社から貰うことはできます。
でも、会社が用意してくれない場合は直接健康保険組合に連絡して取り寄せてください。 最近は健康保険組合のホームページからダウンロードできるところもあります。
そのためにも退職する前に任意継続するかどうかは決めておいたほうがいいです。
以上の様に、一見お得な制度の様に思えますが、 それには守らなければならない注意点がいくつかあります。 でも、そこさえ気をつければ健康保険料を安く出来る可能性があるわけです。 退職する前によく考えておく事をお勧めします。
今回のポイント
・任意継続に加入できるのは最長で2年間だけ。
・一度、保険料を納めたら再就職、死亡以外で途中脱退はできない。
・加入手続きは退職日から20日以内にしないとだめ。
・会社に保険証を返す前に保険証の番号はコピーしておく。
以上、文也でした。
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