確定拠出年金にはメリットとデメリットがあります。
デメリットはすでに紹介しました。
今回はメリットについてお話しします。
とはいっても、庶民的感覚だと「それって、本当にメリットなの?」と思えるようなものが多いです。
これを読んだ後でも、なんだかしっくりこない。いまいち確定拠出年金をやる気にならない。
と思うかもしれません。
でも、長い時間をかけてお金を貯める方法としては意外に大切なことだったりします。
それに気づくか気づかないか。
それがこのしくみの良さが理解できるかできないかの分かれ目になると思いますよ。
最大のメリットは税金が安くなること
いきなり最大のメリットを書きました。
逆にいうとこれ以上のメリットは僕も思いつかないんです。(笑)
確定拠出年金と投資信託は似ています。
話題のNISAと比較されることもあります。
それと比べたときに優れているのが税金なんですね。
あなたが収める税金が安くなるんですよ。
と、ここまでは確定拠出年金のメリットとしてよく言われてることです。
確定拠出年金は3回税金が戻ってくるチャンスがあります。
1.掛け金を出すとき。
2.運用してるとき。
3.年金を受け取るとき。
逆に言えば、普通に投資してたらその分税金を払ってるってことです。
だからマイナスだったものがゼロ(あるいはマイナス幅が小さくなる)になるだけなので。
日本人的感覚ではメリットと感じないひともいるかもしれません。
雑誌やテレビの特集では節税部分で得した部分が、お金が増えたかのように得するみたいに書いてることもあります。
たとえば、ある主婦に人気の雑誌の記事にはこう書いてます。
(ついでに書くと、投資経験のない人が年率3%の複利で利益を上げるのはかなり難しいです)
でもそうじゃありません。
あなたの払う税金が安くなるだけです。
収入がなくてもお金が増えるわけじゃないんです。
と聞くと、なんだそれだけか・・・って思うかもしれません。
だからといって投資信託、株、預金をやってたら(脱税しない限りは)税金がかかる部分なんです。他の金融商品をするくらいなら確定拠出年金の方がマシなのは確かですよね。
という意味でのメリットになるんです。
つまり、増やしたい人にとっては得になるけど、楽したい人にはあまりありがたみがない。
という制度です。
うーん。メリットを書いてるつもりなのに、なんだかありがたみがないような・・・
でも、確定拠出年金に興味をもってる人には知ってほしいことなので書きました。
ではどんな税金が安くなるのか。
もう少しくわしくみていきましょう。
どんな税金が安くなるんでしょうか
1.個人型は掛け金で得をする
掛け金で得をするのは個人型だけです。
自営業やフリーの人が入ってるやつですね。
会社員が入ってる企業型は関係ありません。会社の経費の一部になってます(実際にはあなたの退職金ですが)。
個人型では掛け金は自分で出します。
毎月5000円以上のお金を金融機関に払って運用するわけです。
この掛け金は”損失扱い”になります。
難しいですね。
それを知るためには税金を納めるしくみから勉強しましょう。
収入と所得の違い
日常では同じ意味に使われますが、税金の用語では違う意味になります。
この違いわかりますか?
簡単に言うとこうなります。
収入:必要経費が引かれる前のお金。
所得:必要経費が引かれた後のお金。
お店の経営でたとえると。
収入:お店の売り上げ
所得:利益=売り上げから仕入れ、人件費、光熱費その他の経費を差し引いたお金。
あなたの収入から必要経費を引いたお金が所得。
所得から税金や社会保障費を引いたのが”手取り”になります。
つまり金額の大きさはこうなります。
収入 > 所得
確定拠出年金の掛け金は損失扱い
確定拠出年金の掛け金は所得には入りません。
実際には収入から必要経費を引いた所得からあなたが払ってます。
でも、
収入を得るための経費と同じ扱いにまります。
だから所得からは外してもらえるんです。
例えば、毎月2万円掛け金に使ったとします。
一年で24万円はらうことになりますよね。
たとえばこんな場合。
収入:600万円
所得:400万円
確定拠出年金の掛け金:24万円
400万 – 24万=376万円
あなたは400万円の所得があるのに、税金を計算するときは376万円の所得になるんです。
収入が少ないと所得税と住民税が安くなります。
確定申告の手続きを忘れずに
所得税と住民税は確定申告しないと戻ってきません。
所得の確定申告をすれば翌年の住民税は自動的に安くなります。
住民税は前の年の所得で計算するので一年遅れで節税効果が出ます。
どれだけ節税効果があるの?
ふたたびこんな例を用意してみました。
所 得 :400万円
年間の掛け金:24万円
所得税の税率:5%
住民税の税率:10%
税率の合計 :15%
この人の場合、確定拠出年金をしてなければ。
400万×0.15=60万円の税金を払うはずです。
でも、24万円の掛け金を出していれば。
376万×0.15=56万4000円の税金ですむのです。
60万-56万4000=3万6000
3万6000円得したことになります。
税金の計算ではあなたが確定拠出年金に出したお金は無くなったことになってるのです。
でも、掛け金の24万円は将来元本割れしてなければ24万円は戻ってくるでしょう。
24万円の掛け金で3万6000円の利益を出したのと同じ計算になりますね。
15%の利回りで運用したのと同じ効果ですよ。ここまで高い運用利益を出せる金融商品はなかなかありませんよね。
これが雑誌やテレビで「得をする」と言われてる部分の正体です。
もちろん、24万円の掛け金を出さないとこれだけの金額は得したことになりません。
メリットがあるのは所得税と住民税を払ってる人だけです。
税率は所得が高いほど上がります。つまりそのぶん節税効果も高いわけです。
金持ちが得をして貧乏人にはメリットがない制度といわれるのはこのためなんですが。でも自営業で所得税を払えない状態が続くと生きていけません。将来のことを考える以前の問題かもしれませんよね。
専業主婦(第3号被保険者)はどうなるの?
2017年1月1日から専業主婦も個人型確定拠出年金に加入できます。
でも専業主婦(第三号被保険者)は住民税と所得税は払ってませんよね。
だからメリットはない。という意見もあります。
でも掛け金で税金が安くなるだけがメリットじゃありません。
主婦でも得するメリットがほかにもあるのですが。
それは次回お話ししますね。
今は掛け金のお話を続けます。
専業主婦でもパートやアルバイトをして所得が103万円を超えると所得税がかかります。
これが「103万円の壁」
主婦なら知ってる人も多いんじゃないでしょうか。
主婦でも住民税を払うこともある?
住民税は103万円以下でも住民税がかかることがあります。
地域によって違いますが、所得が100万円以下なら住民税がかからないことが多いようですね。くわしく知りたい人は住民票のある自治体に問い合わせた方がいいかもしれませんよ。
逆に言うと主婦でもそれ以上に稼いでいる人は住民税、所得税がかかるので確定拠出年金の節税メリットはあるわけなんです。
今は夫の収入だけではやっていけないと働いてる主婦の方も多いと聞きます。あてはまる方も増えてるんじゃないでしょうか。
「掛け金出す余裕なんてないよ」という方もいると思います。もちろん今の生活が優先です。余裕があれば確定拠出年金などで将来に備える。という考えでいいと思いますよ。
まとめ
いかがでした?
メリットに感じましたか?
確定拠出年金のメリットは税金が安くなることです。
節税できるんですね。
個人型の掛け金を出している人は住民税と所得税を払ってる人は税金が安くなります。
個人型の掛け金を出していない人。住民税・所得税を払ってない人はメリットはありません。
専業主婦(第3号被保険者)は普通は税金を払ってないと思うので節税メリットはないかもしれません。でも住民税・所得税を払っていれば税金が安くなります。
さて、確定拠出年金のメリットはまだ続きます。最大のメリットを言っちゃったので、あとはたいしたことないかもしれませんが。
知らないよりは知ってた方が得をする。長い目で見ると得をする。
そんなメリットになります。
それでは今回はこのへんで。
文也でした。
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