最近、アクセサリーや健康器具で「テラヘルツ」という言葉をよく聞きます。
テラヘルツ波というものが出ているそうです。
テラヘルツ波とは何なのでしょう紹介しましょう。
テラヘルツ波とは
テラヘルツ波は電磁波
テラヘルツ波とは電磁波の仲間です。
電磁波というと怖い印象を持つ人もいるかもしれません。でも電磁波ってとても範囲が広いんです。
普通の光(可視光線)だって電磁波、赤外線、紫外線、電波、マイクロ波、X線。すべてひっくるめて電磁波とよんでいるんです。
人・犬・猫・ライオン・馬・ネズミ・象などをまとめて「動物」と呼んでいるのと同じです。
電磁波には周波数があります。
周波数とは一秒間に何回振動するかを数字で表現したものです。
単位は「Hz」。「ヘルツ」と呼びます。
1秒間に1回振動すると「1ヘルツ」。
1秒間に60回振動すると「60ヘルツ」。
西日本の電気の周波数ですね。
テラヘルツ波は、1秒間に1テラ回振動する電磁波なので「テラヘルツ波」とよばれます。
テラとは
テラとは10の12乗。
1,000,000,000,000=1兆 のことです。
G(10億):ギガの次
M(100万):メガの次の次です。
身近な製品でテラが付くものといえばハードディスクでしょうか。
1TB(テラバイト)を超えるハードディスクって普通にありますもんね。
テラヘルツ波とはどんな電波?
どの範囲の電磁波をテラヘルツ波と呼ぶのか、じつをいうと正確な決まりはありません。
でもなんとなく0.3~3テラヘルツの電磁波をテラヘルツ波と呼ぶことが多いようです。
3テラヘルツを超えると遠赤外線になります。
日本の電波法では3テラヘルツ以下の周波数は電波と決めています。つまりテラヘルツ波は法律上は電波なんです。
0.3テラヘルツ以下はマイクロ波。でもマイクロ波とかぶってる部分もテラヘルツ波と呼ぶこともあります。
ちなみに電子レンジに使われるマイクロ波は2.45ギガヘルツ(0.00245テラへルツ)です。
つまり。テラヘルツ波とは遠赤外線とマイクロ波の中間にある電磁波のことです。
テラヘルツ波の性質
テラヘルツ波はマイクロ波と遠赤外線の中間の電磁波。
つまり、
電波と光の中間。
になります。
だから両方の性質がかぶってる部分もありますし、面白い性質があります。
テラヘルツ波はたいていの物は通り抜けることができます。
石、セラミック、プラスチック、木、紙、布など。
でも導電体を通り抜けることはできません。
つまり電気を通す素材は通り抜けることはできません。
金属と水はテラヘルツ波を通さないのです。
水はテラヘルツ波を通さないので。雲や霧があるとテラヘルツ波は弱くなります。
空気中にも水分があるので少しずつ弱くなります。
だから通信には使いにくいです。でも近い距離なら通信に使えるのではないかと研究している人もいます。
自然界にあふれているテラヘルツ波
狙った周波数のテラヘルツ波を出すのは難しい技術でした。
でも。
自然界にはテラヘルツ波を出すものはあふれています。
マイナス263℃以上のなら全ての物がテラヘルツ波を出しています。
だからあなた自身の体もペットも家も車もテラヘルツ波を出しているんです。
でも自然界で出ているテラヘルツ波はとても弱いんですね。
なにかの役に立つというレベルではありません。
体にいいの?
テラヘルツ波は確かに生物の体から出ています。自然界からも出ています。
でも、だからといって健康にいいというわけではありません。
確かに赤ちゃんはたくさんテラヘルツ波を出しているかもしれません。
お年寄りはテラヘルツ波を出す量が少ないかもしれません。
でもそれは「赤ちゃんは体温が高いから多い」「お年寄りは体温が低から少ない」という単純な理由です。
もちろん高齢でも体温が高い人はテラヘルツ波も多くなります。
つまり、温度が高くなると出るテラヘルツ波は多くなります。遠赤外線も同じです。
赤ちゃんのテラヘルツ波が多いからといって特別な意味はありません。ごくごく僅かな差です。
確かに体温は高いほうが免疫力も上がるし健康にもいいといわれます。体温が高い方がよいのは確かです。でも体温を上げる方法はいくらでもあります。
テラヘルツ波を出すというアクセサリーを付けたくらいでは体温に変化はありません。
テラヘルツ波を「生命光線」と呼ぶ人もいるようですが。生物の体から出ているからといって治療効果があるわけではありません。
ただ存在しているだけなんです。
テラヘルツ波の利用法
テラヘルツ波は電磁波のなかでもあまり研究が進んでいなかった部分です。最近になって実用化されるようになりました。
というのも狙った波長のテラヘルツ波を作る技術がなかったのと、テラヘルツ波を受信する技術がなかったからです。
最近では非破壊検査の分野で使われることがあります。
つまりX線やCTスキャンのようにテラヘルツ波で中身を見ることができる技術です。
ある物質がどんな素材でできているのか調べる検査にも使われます。原子や分子はそれぞれ決まった周波数を吸収するという特徴があります。指紋のようなものです。その物質にテラヘルツ波をあてて、どの周波数が吸収されたかを調べるとどんな素材でできているのか分かるのです。
その検査にテラヘルツ波が使われることがあります。
この技術を応用すると爆発物が隠されていても調べることができます。
医療分野でも検査に使われることはあります。検査のためです。テラヘルツ波で治療できるわけではありません。
テラヘルツ鉱石の正体
健康器具の分野でテラヘルツネックレスとかテラヘルツブレスレットを見かけることがあります。
テラヘルツ鉱石という素材を使って造られたアクセサリーです。
テラヘルツ鉱石はギラギラと銀色に輝く金属的な物ですね。でもこれは金属ではありません。シリコンの単結晶なんです。
シリコン単結晶とは、どこをとっても結晶の向きが同じな結晶です。金太郎飴みたいな結晶という意味です。常に同じ性能を求められる工業製品には大切な素材です。
シリコンといっても、台所用品でよくみかけるシリコーン樹脂 (silicone) とは違いますよ。
ケイ素 (silicon)という元素のことです。不純物をほとんど含まない純粋なケイ素の結晶がテラヘルツ鉱石の正体なんです。
自然界にはケイ素はたくさんあります。石や砂にもケイ素は入ってます。でも純粋な純粋はケイ素はほとんどありません。だから自然界の鉱物から純粋なケイ素だけを取り出して使います。
ケイ素は何に使うとかというと「半導体」や「太陽電池パネル」です。
太陽発電のパネルはキラキラ光ってますよね。あれは表面にシリコンの結晶をはりつけてあるからなんです。簡単にいうと光があたると電気が流れるという仕組みを利用しているんですね(実際にはもっと複雑なしくみです)。ちなみに太陽電池のシリコンは多結晶。よくみるとモザイク模様になってますね。単結晶がいくつも集まってできたから、あのようなモザイク模様になってるんです。
さて、半導体や太陽光発電に使われるシリコンがなぜ健康器具になってるのでしょうか?
半導体に使うシリコン単結晶はとても純度が高いものが必要です。
99.9999999999999%という小数点のあとに9が13個も並ぶくらい高い順度のシリコン単結晶が必要なんです。
でも製造していると規格外のものが出ます。
半導体にならなかった規格外のシリコン単結晶が健康器具に使われているんですね。
そうきくと「なんだ不良品か」とがっかりするかもしれません。
でも半導体になれなかったとはいえ、シリコン単結晶そのものは純度の高いもの。99.9999%は超えてるでしょう。自然界ではありえないくらい純度が高いですし。身の回りの品物をみてもここまで純度の高い物質はないんじゃないでしょうか?ある意味貴重です。
ちまたでは「高純度」っていうといい商品のイメージを持つ人もいるみたい。だから、そういう人にはいいんじゃないかなって思います。
金、銀、プラチナの装飾品だって自然そのままの姿ではありません。鉱石を工場で精錬して、純度の高い金属にしてあるのです。人間の手が加わっているという点ではテラヘルツ鉱石(シリコン単結晶)と同じです。
確かにあまりにもギラギラした金属光沢は好き嫌いがはっきり別れますね。
でも、メタリックな輝きが好きな人にはいいのではないでしょうか。テラヘルツ鉱石は金属じゃないので軽いです。重いのが気になる人にはいいかもしれません。この光沢は天然の石ではできませんね。メタリック好きにはたまりませんね。
もちろん見た目を楽しむためのアクセサリーとしてですよ。
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