「だまされてた。だから自分は悪くない」って人はよくいます。
夏になると戦争の特集なんかよく見かけますよね。
テレビに出てる人の中には「自分達は国や軍にだまされてた」って言う人がいます。
「だから、自分達は悪くない。自分達も被害者なんだ」と言いたいのでしょう。
確かにそうなのかもしれません。
だまされた。だから自分は悪くない。
仮にそうだとしても、それだけじゃ進歩がない。
責任転嫁する人は同じ失敗を繰り替えします。
だまされた!で終わらせてはまただまされる
どうして騙されたのか。何がいけなかったのか。これからの自分はどうすべきなのか。
それを考えない人はまた別のものに騙されます。
今信じてる価値感も50年後には間違ってたと思う可能性もあります。
戦後、共産主義を信じてた人ってそういう進歩のない人じゃないかな。
もしかすると日本のやってる資本主義や民主主義もなにか間違ってる部分があるのかもしれない。いろいろ考えることも必要じゃないかなって思います。
と、おおげさなことをいいましたが。
たんなる前ふりです(笑)。
戦争や政治を議論する気はありません。その手の話を期待してた人にはごめんなさい。
いいたいのはこれ。
会社で働いてること、社内で当たり前に思ってることがそれでいいの?
ってことなんです。
「会社のために働くことが大事」
「会社で働いているから生きていける」
「会社で働いていれば安心」
そう考えていた自分に疑問を持つ出来事がありました。
会社に騙されていた。と思うんじゃなくて。
そういう生き方もあるけど、そうでない生き方もあるんじゃないか。
そのことを気づかせてくれた。
新しい生き方に目覚めさせてくれた。
かつて僕が会社で経験したあるできごと。
他の人とはちょっと違うリストラ体験記。
今からそれをお話します。
会社の考えに浸っていたころ
学校を卒業して就職したのはバブル崩壊直後。
僕の入った会社はまだ経営が厳しいという雰囲気ではありませんでした。
ある程度勤務すると会社が銀行からの借入金があるのを知りました。
でも銀行との付き合いがあるから、ある程度の借金があるのは当たり前。そんな会社の説明を信じてました。
もちろんそれ自体は問題ではありません。どんな優良企業でも銀行からの借入金はあります。
でもそれが出来るのは黒字を続けていたときだけ。景気のいいときは銀行も気前よく貸してくれます。
やがて会社の経営が悪化。
さらに会社の借入金が想像以上のものだと知ります。正確な金額は分かりません。
でも自分も関わったプロジェクトだけでも20億円近いお金がかかってました。他にも多額の負債があることは聞いてました。
あとになりますが、負債額は資本金の8倍近いことを知りました。
予想を超える金額でした。
一時期新商品がヒットして持ち直したこともありました。
これで大丈夫と思ったこともあります。
でも、長続きしませんでした。
経営悪化・社内に広がる不穏な空気
赤字体質から抜けられない
僕が入社したのはバブル崩壊後なので最盛期は過ぎてました。
最盛期の8割程度におちてたものの、利益が出てる状態でした。会社が危ないなんて思ってる人はいませんでした。
しかし、安い外国製品におされて赤字が何年も続きます。
経常利益が1年や2年では会社の存亡にはならないと思います。でも慢性的な赤字体質になってました。
売上半減
やがて最盛期に100億円近くあった売り上げが約半分に減りました。
新入社員の採用が減り、採用ゼロの年も増えました。原則残業は禁止。売り上げの落ちた部門は他の部門と合併。会社の持っていた土地が売りに出されます。
このあたりになると現場の社員にもやばいという雰囲気が漂いだします。
会社は移り変わりの激しい業界の動きについていけなくなってました。それに加えて円高、中国、韓国企業の攻勢。理由はいろいろあります。
「もううちの会社は危ないな」という声が社内で聞かれるようになりました。
でも、まだ潰れるところまではいかないだろうという甘い考えもありました。
そして、リーマンショック。
ついに銀行はお金を貸してくれなくなりました。借金の取立てが始まります。
結局、資金繰りが悪化。銀行も助けてくれない。むしろ性急な取り立てをはじめます。
ついに会社はリストラすることになりました。
会社の実態は知らされてなかった
後で入手することになる社内の資料では会社の末期的症状が突きつけられました。
でも、当時の僕達の認識も甘かったのです。
客観的に見れば断片的にもれる情報から、かなりやばい状況だったのは想像できたはず。
でも、組織の中にいるとそれが受け止められない。
状況がわかっても、どうしたらいいかわからない。
まだ、なんとかなる。
あるのは根拠のない望みだけでした。
敗戦のその日まで、まだ戦えると思ってた日本人。
それと似てるかもしれません。
関連会社がリストラ
しかし、関連企業がリストラしたという情報が飛び込んできました。
ほとんどの社員は交流がない会社ですが。一応グループ企業です。僕のいた会社が本社、リストラしたのは支社になります。
その会社が人員削減したのです。次は我が身か?
そう思った社員もいました。
会社役員に呼び出される
そして月末のある日、
人もまばらな実験室で居残っていたら、総務の人から声がかかりました。
このころになるとさすがにヤバイなという雰囲気は察してました。
あとは、いつ来るかの問題だけ。
通されたのは応接室。
会話の漏れにくい小さな部屋です。
そこには二人の険しい顔の取締役がいました。
入った瞬間になんとなく呼ばれたわけが分かりました。
「ついにこの日が来たか・・・」
取締役が二人でお出迎えとは・・・
血の気の引く思いでした。
いいえ、まだほんの始まりに過ぎません。
苦しいのはこのあとなのです。
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