毎年3月になると国連が「幸福度ランキング(World Happiness Report 2025)」を発表します。
理由は3月20日は国際幸福デーだから。
2025年の世界幸福度ランキングを見ると日本は55位です。なぜこの順位がなぜここなのか気になった人も多いのではないでしょうか?
この記事では、2025年版のランキング結果を確認しながら、順位の決まり方や日本が低めに出やすいわけを分かりやすく紹介します。
この記事で分かること
- 2025年版世界幸福度ランキングの上位国と日本の位置づけ
- ランキングが1つの質問をもとに作られている仕組み
- 日本が順位で不利になりやすいと考えられる文化的背景
- 順位の差をそのまま国の優劣と見ないための読み方
2025年版世界幸福度ランキング
まずは2025年版のランキングを紹介しましょう。
ベスト10
1位 フィンランド 7.736
2位 デンマーク 7.521
3位 アイスランド 7.515
4位 スウェーデン 7.345
5位 オランダ 7.306
6位 コスタリカ 7.274
7位 ノルウェー 7.262
8位 イスラエル 7.234
9位 ルクセンブルク 7.122
10位 メキシコ 6.979
ベスト10は北欧が強いのはいつものとおりですが。コスタリカとメキシコの中米勢が初めてランクイン。紛争の多い印象のあるイスラエルもランクインしてるのも大きな特徴です。
20位まで
11位 オーストラリア 6.974
12位 ニュージーランド 6.952
13位 スイス 6.935
14位 ベルギー 6.910
15位 アイルランド 6.889
16位 リトアニア 6.829
17位 オーストリア 6.810
18位 カナダ 6.803
19位 スロベニア 6.792
20位 チェコ 6.775
全体的にヨーロッパ勢強いです。オーストラリア、ニュージーランド、スイス など上位10位以内にいた国がこちらに移動してますが大きな差ではありません。ちょっとしたポイントの差がランキングにも影響しているようです。
21~50位まで
21位 アラブ首長国連邦 6.759
22位 ドイツ 6.753
23位 イギリス 6.728
24位 アメリカ 6.724
25位 ベリーズ 6.711
26位 ポーランド 6.673
27位 台湾 6.669
28位 ウルグアイ 6.661
29位 コソボ 6.659
30位 クウェート 6.629
31位 セルビア 6.606
32位 サウジアラビア 6.600
33位 フランス 6.593
34位 シンガポール 6.565
35位 ルーマニア 6.563
36位 ブラジル 6.494
37位 エルサルバドル 6.492
38位 スペイン 6.466
39位 エストニア 6.417
40位 イタリア 6.415
41位 パナマ 6.407
42位 アルゼンチン 6.397
43位 カザフスタン 6.378
44位 グアテマラ 6.362
45位 チリ 6.361
46位 ベトナム 6.352
47位 ニカラグア 6.330
48位 マルタ 6.316
49位 タイ 6.222
50位 スロバキア 6.221
ヨーロッパ・アメリカ大陸勢強いですが、アジア・中東勢もランクイン。
51~60位まで
いよいよ日本のいる50位台のランキングです。
51位 ラトビア 6.207
52位 オマーン 6.197
53位 ウズベキスタン 6.193
54位 パラグアイ 6.172
55位 日本 6.147
56位 ボスニア・ヘルツェゴビナ 6.136
57位 フィリピン 6.107
58位 韓国 6.038
59位 バーレーン 6.030
60位 ポルトガル 6.013
中東アジア勢が増えてきました。
他の国々
他の国々でニュースで国名を聞くことのある国々を抜き出すと。以下のようになります。
65位 ペルー 5.947
66位 ロシア 5.945
68位 中国 5.921
69位 ハンガリー 5.915
77位 モンゴル 5.833
79位 リビア 5.820
81位 ギリシャ 5.776
83位 インドネシア 5.617
85位 ブルガリア 5.554
88位 香港 5.491
91位 ジョージア 5.400
92位 ネパール 5.311
94位 トルコ 5.262
95位 南アフリカ 5.213
96位 モザンビーク 5.190
99位 イラン 5.093
101位 イラク 4.976
108位 パレスチナ自治区 4.780
109位 パキスタン 4.768
111位 ウクライナ 4.680
117位 インド 4.389
下位グループ
130位 ザンビア 3.912
131位 エチオピア 3.898
132位 スリランカ 3.891
133位 バングラデシュ 3.851
134位 エジプト 3.817
135位 タンザニア 3.800
136位 エスワティニ 3.774
137位 レソト 3.757
138位 コモロ 3.754
139位 イエメン 3.561
140位 コンゴ民主共和国 3.469
141位 ボツワナ 3.438
142位 ジンバブエ 3.396
143位 マラウイ 3.260
144位 レバノン 3.188
145位 シエラレオネ 2.998
146位 アフガニスタン 1.364
データがある中での最下位はアフガニスタンでした。
出典:World Happiness Report 2025 の統計付録
世界幸福度ランキングはどうやって出しているのか
誰がつくったのか?
幸福度ランキング(World Happiness Report)はオックスフォード大学 Wellbeing Research Centre を中心に、Gallup や UN Sustainable Development Solutions Network などが協力して公表しています。
このレポートは国連のSDSN(持続可能な開発目標を後押しするためのネットワーク)が関わっていますが、国連の公式見解ではない。とされています。
たった一つの質問で決まるランキング?
ちなみにこのランキングどうやって作っているのでしょうか?
このランキングはカントリル・ラダー(Cantril Ladder)と呼ばれる一つの質問に対する答えをもとに作られています。
対象となる人に、考えられる最低の人生0。最高の人生を10とした場合、その人は現在どの段階にいるかを答えてもらうものです。
調査に使われているのは Gallup World Poll のデータです。各国で毎年1000人前後を対象に電話か体面で調査しています。
年ごとのぶれを小さくするため直近3年分の平均を使います。2025年版なら、2022年から2024年の平均です。
つまり。幸福度調査は0から10までの数字を答える。ただこれだけのデータでランキングが作られているのです。
「たった1000人に電話で聞いて何が分かるの?」
という気もします。しかもこのランキングには客観的なデータが一切入っていないのです。
ただ個人の主観だけで決まるのです。さらに文化も習慣も宗教も違うので質問に対する捉え方がぜんぜん違います。
ポイント差はわずか?日本は40~60位グループ
よく見ると、55位の日本は6.147ポイントですが、54位 パラグアイ 6.172とは0.025ポイント。56位 ボスニア・ヘルツェゴビナ 6.136とは、0.011ポイントしか違いません。
ランキングには違いはありますが、ポイント自身はあまり差がないのです。サンプル数が1000しかないため、統計的には95%信頼水準で ±2.4 から ±4.7 ポイント程度。だいたい3%ぐらいの誤差がでるとされています。
この誤差日本に当てはめれば。40~60位くらいの数字になってしまいます。つまりランキングに使ったデータの精度によってプラス・マイナス10位くらいの誤差はある。と思っておいたほうがいいでしょう。それほど絶対的な差ではないのです。
幸福度ランキングに数値データは使用していない
多くの人は世界幸福度ランキングの順位は様々なデータを集めて総合点を計算して決めていると思うかも知れませんが。そうではありません。先ほども書いたようにたった一つの質問で決まります。
でも毎年ランキングともに以下の6つの指標が公開されます。
・健康に生きられる
・国民一人あたりのGDP
・政府やビジネスの腐敗のなさ
・社会的支援
・社会の自由度。
・他者への寛大さ
というものです。
これは、ランキングに使ったデータではありません。
この6つの指標は出てきたランキングの差を説明するためには使いますが、ランキングそのものを決めるためのデータではありません。なぜランキングがこうなっているかを後付けで説明するための参考資料でしかないのです。
なぜたった一つの質問でランキングを決めてしまうのか?
自分で決めるのが民主的で普遍的?
幸福度ランキングはたった一つの主観的な答えて決まってしまいます。なぜこんな決め方をするのでしょうか?ただの人気投票と同じではないでしょうか?
作成側は、研究者の判断で複数の指標を組み合わせると作成者の価値観を押し付けることになる。1問で本人に判断をしてもらう方が民主的で普遍的だと説明しています。Cantril Ladder は、幸福、満足、成功のような言葉を直接使わないので、多言語に訳しやすく、文化背景が違っても比較しやすい、と主張しています。
でも、その理屈自体が彼らの価値観の押し付けではないでしょうか?
これは自己表現できることに慣れた文化では違和感ないかも知れませんが。そうではない文化、人との比較をしたり遠慮したりする文化では不利が出る可能性があります。
特に日本のような社会ではこの計測の仕方では大きな不利になります。
言った者勝ちのランキング?
欧米やならそこそこ満足していてたら満点に近い数字をつけますが、日本では平均点近く、控えめな評価をしやすいともいわれます。
自己肯定を表に出しにくい傾向があるなら、同じ生活条件でも平均点は低く出るでしょう。
なので、このランキングそのものが個人主義的な自己観や、肯定的な自己評価をする文化に有利なようにできているといえます。
日本が国際機関のランキングで評価が低い理由
でも日本が低いのはそれだけではありません。ランキングには注意点があります。それを紹介しましょう。
宗教や習慣が違う
上位にいるのは北欧などのヨーロッパ諸国。確かに福祉が充実しています。でもそれだけではありません。キリスト教ばかりです。
キリスト教国は多少の不幸があっても「神の試練」と前向きにとらえます。キリスト教徒として生きているからには「神に祝福されているはずだ」「今の不幸には理由がある」と考えるのです。この感覚は無神論者の日本人には理解できないかも知れません。
だから聞き取り調査をすると数字が高くなってしまうのです。
でも日本では違います。「普通」に生きられるのが幸福で少しでもずれると「不幸」だと感じてしまいます。いつもと違うことがあると悪いできごとととらえる国民性の影響が大きいのです。
さらに日本人は質問に10点中の5点で答える人が多いらしいです。なにごとも「平均」がいい。という控えめな国民性が出ています。
だから聞き取り調査をすると数字が低くなってしまうのです。
幸福に求めるレベルが違う
一口に幸福といいますが日本人の求める幸福と外国の人々が求める幸福さは違います。現在の日本ではよほどのことがない限り命を落とすことはありません。変な主張をしたからと言って捕まることもありません。貧困が増えたといっても途上国の貧困とは事情が違います。
「生きてはいけるけど、なんかモヤモヤしている」
そんな人は多いと思います。そんな人に「あなたは幸福ですか?」と聞いたら「いいえ」と応えるに決まってます。
でも外国人はそうではありません。「生きていけるならハッピーじゃないか」と答える人も多いでしょう。
日本人の考える幸福でない状態は「モヤモヤしている」レベル。
死なないのは当たり前、逮捕されないのも当たり前、自由に生きられるのが理想、の状態でさらに上を目指しているのが日本人の幸福なんです。
日本よりも経済的に豊かとはいえなかったり治安が悪くてもランキングが高いのは国民の意識の高さが違うのです。
ヨーロッパの価値観でランキングは作られている
幸福度ランキングなど世界で発表されるランキングの多くはヨーローッパに組織があります。ランキングの項目を作るのはヨーロッパ人。つまり欧米人の価値観でランキングが作られているのです。
日本人と欧米人では豊かさや幸福の価値観が違います。国際機関のランキングではヨーロッパが上位にランキングされることが多くアジアの国が低くランキングされることが多いです。
イスラム教徒とキリスト教徒では価値観も習慣も違います。アジア人と欧米人も価値感や習慣は違います。
幸福の国と言われたブータンがかなりランクが低いのもその理由です。ちなみに世界幸福デーを提唱したのはブータン。そのブータンが低いランクに抑えられるとはなんという皮肉でしょうか。
主観的なランキングでは日本は弱い
日本は数字で測定できる項目には強く、主観的な項目に弱いという特徴があります。
寿命、所得、犯罪発生率など客観的なデータがある分野では世界のトップクラスです。
ところが「あなたは幸福と思いますか?」「豊かだと思いますか?」などの漠然とした問題になると極端に順位が低くなります。日本人特有の悲観的な考え、自分を高く評価するのは恥ずかしいという謙虚さがランキングでは悪い結果の原因になってしまうのです。
自尊心の低さがランキングに出ているといってもいいです。
今回発表された幸福度ランキングはたったひとつの主観的な答えてで作られています。つまりランキングの数字そのものには意味がないのです。
ランキングを気にしすぎてはいけない
ランキングを見て日本に不足している部分を補うように努力することは必要です。
だからといってランキングを気にして「日本は悪い国だ」「行きにくい国なんだ」と思う必要はありません。また日本よりランキングが低い国を不幸な国だと思う必要もありません。
対策をすることとと、むやみに不安を煽ったり、落ち込んだりすることは別です。
外国機関の発表したランキングに一喜一憂することって他人の評価を気にしてウツウツしてるのと同じこと。「いいね」が付かないからといって一人で悩んでるのと同じ。
つまり
あなたは自分で幸福度を下げているのです。
本当に自分らしく行きたいなら意味のないランキングを気にする必要はありません。あなたにとっての幸福を探せばいいのです。


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