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開票率0%で当選確実がテレビに出る理由・選挙速報は信用できるのか?

先日、どこかの知事選の速報がテレビで流れていました。当選確実の報道です。でも時間は午後8時40分頃。開票率は0.7%でした。

「なんで開票率0.7%で当選確実が出るんだよ!」と思いました。

でも、テレビを見ていると開票率0%で当選確実が出ることもあります。

有力な候補は1人だけ、他はみんな人気なさそうな候補者ばかり。というなら開票する前から結果がわかることもあるかもしれません。ところが、そうではないときでも当選確実がでます。

「開票率5%で当選確実が出たとしても残りの95%で逆転が起こるかもしれないじゃないか?」って思います。でも実際にはなかなか逆転は起こりません。

なぜ開票作業が終わってないのに当選確実といえるのか不思議です。そこで調べてみました。当選を予想するためにマスコミ各社は様々な方法で取り組んでるようですよ。

ちなみに。
NHKでは「当選確実」「当確」と表現しますが、民法では「当選」と表現するところもあります。でも、まだ当選が決まったわけではありません。

 

目次

選挙の当選予想の方法

票読み

マスコミが得票数を予想するときに「票読み」という作業があります。事前に電話などで世論調査したり、出口調査を行ったり、記者が選挙区を取材したりします。

電話で質問するのはよくある方法です。無作為に選んだ番号に対して手当たり次第に電話するようです。

また、情報を多く持っているベテランの記者の場合だと候補者がどの程度の票を集めているのか教えてくれることがあるそうです。支持団体の付いてる候補者だとある程度、獲得する票を予想することができるのです。記者はお礼に他の候補者の情報を教えます。候補者と記者は情報交換するようです。

日頃の取材をどの程度熱心に行っているかで情報の精度がかわってきますね。

そうして集めた情報をもとにどの候補者がどの程度票を獲得するか予想するようです。

出口調査

選挙ではおなじみとなった出口調査。これも票読みの一部になると思います。

投票を終えて帰ろうとすると見ず知らずの人に待ち伏せされて「誰に投票したのか、どの党に投票したのか」って聞かれるやつです。いつどこでどのように出口調査をするかは精度に大きく変わってきます。

ただし、全ての投票所で行ってるわけではなさそうです。全員に声をかけているわけでもありません。

出口調査の調査員は多くがアルバイトのようです。1日1万円くらいもらえるらしいです。

僕は投票に行ったとき、早く帰りたいのに呼び止められて「鬱陶しいなあ」と思ったことがあります。ちなみに僕は質問されても答えません。なんで見知らぬ人に誰に投票したのか言わなければいけないのか理解できませんから。もちろん言いたい人は答えるといいと思います。

統計学では割り切れない部分

統計学的・数学的には5%もあれば高い精度で予想できる。という人もいます。でも実際にはそんなに簡単なものではありません。確かに理論上は5%も調べれば全体の傾向を知ることは出来ます。あくまでも傾向です。100%正しいわけではありません。

例えば、メーカーが工場で作る製品の検査だと統計学が利用できます。わずかな数を調べただけで全体の品質をチェックできるのは統計の理屈どおりになるからです。でも投票に行く人間は工場で作られる製品とは違います。いつでも同じものが出てくる。という訳にはいきません。

サンプルの選び方で結果が変わることも

地域によっては支持する候補者が偏っているときがあります。時間帯によって選挙に行く層が違うかもしれません。一部の層に強い候補者がいると、調査対象者が偏ると結果も変わってきます。お年寄り、若い人、女性など特定の層に偏った調査を行うと結果が変わる事があります。

また、出口調査をする調査員の主観が入ってもいけません。声かけやすい人だけに声をかけるとか、女性だけに声をかけるとか。調査員の好みで選んではいけません。そのため、一定間隔でやってくる人に声をかけるとか、出口調査をする相手を選ぶときも主観がはいらないようにしなければならないようです。

数学者や統計の専門家は数%のサンプルでも全体はわかるといいます。でも、統計を使って品質管理をした経験のある僕が思うのは、サンプルのとり方を慎重に決めないと統計では全体を把握することは出来ないことです。データそのものがいい加減では意味が無いです。現実は理屈どおりにはならないのです。

精度の高い当選確実を出す局(あるとすればですが)はサンプルのとり方も上手いのでしょうね。

開票作業の観察

開票率0%といっても、テレビにその文字が出ているときには既に開票作業は始まっています。投票用紙を何度も数えなおして「これは間違いない」となった部分から公開しているんですね。だからあなたがテレビで開票率0%の文字を見ている頃にはある程度は開票作業は進んでいるようです。

投票箱から出された投票用紙はまずおおまかに候補者別の山に分けられます。おおまかと書きましたが、最初に投票用紙を見た時点で誰に投票されたのかはわかりますよね。だから最初に山を作った時点である程度は信用できるといっていいでしょう。

その投票用紙の山を見ればある程度だれにどのくらい票が入っているのか、わかるようです。マスコミ関係者は遠くから双眼鏡を使って投票用紙の山を観察しているそうです。特にNHKはこの方法に熱心だといわれます。

日本人の作業の速さと正確さをうまく利用した調査方法ですね。

なぜ当選確実の速さを争うのか

20年くらい前までは最初に当選確実を発表したマスコミは最初に当選者にインタビューできる特権があったそうです。現在も続いているのかどうかは分かりません。

そうして民放各社は当確を早く発表するのを競っていたそうです。ところが誤報が続出したために政府から注意がでたそうです。

現在は選挙報道は視聴率を取れる番組になりました。開票日になるとテレビ局は通常の番組はやめて選挙特番を流します。速さは視聴率を集める大きな武器になると考えているようです。

「速さを求める現代人が必要にしているから」意見もあります。でもマスコミが勝手に競ってるだけのようにも思えますね。選挙の結果は翌日の新聞やニュースで見てもなんの問題もないはずです。他社を出し抜いて一番に発表したいという欲の方が強く、正確な報道はおろそかになってるようです。

不確実な情報でバンザイする候補者たち

当選確実が出ると候補者はバンザイします。候補者の人生がかかってるんですから不確実な情報を確実だといって報道するのはどうかと思います。

でも、なぜ候補者は決まってないのにバンザイするのか不思議です。選挙管理委員会の連絡があるまで待てないのでしょうか。

候補者が当確が出たのを見て自分でバンザイすることもあれば、マスコミがバンザイしてくれと頼むこともあるそうです。一番慎重だとされるNHKの当確が出てバンザイする人が多いようです。

でも選挙管理委員会の発表がある前に、記者がバンザイを注文するならヤラセ報道ではないでしょうか?絵になることなら何をしてもいいのでしょうか。

ある民放の記者に頼まれて候補者がバンザイしたのに、落選してしまった人もいるそうです。開票作業が進むと逆転されそうだったのでその記者は逃げたそうです。けっこういい加減です。

過去の誤報

国政選挙には誤報がつきもの

それでも当選確実の誤報はなくなりません。

2005年の衆参同時総選挙では20件以上の誤報がありました。

2009年。民主党が大勝した衆参同時総選挙

群馬4区で当選した福田康夫前首相をTBSが「敗北」と放送。

TBSは愛媛2区の社民党議員を「当確」、TBS系列の東北放送が宮城1区の民主党の議員を投票締め切り前に「当確」にしたり、日本テレビ系列の青森放送と、テレビ朝日系列の青森朝日放送が、青森3区の民主党議員を「当確」にしましたが、いずれも落選していました。

このときは「自民党政権が敗れるかもしれない」というので選挙報道も加熱してました。でも事実を曲げて放送するのは 報道 とはいえませんよね。

2014年。衆議院選挙では6件の誤報があったようです。NHKは東京21区で民主党議員を「当確」、テレビ朝日が山形2区の民主党候補を「当確」、TBSは比例東海ブロックの自民党候補を「当確」と発表しましたが落選してましてました。他にもローカル放送局で3件の誤報がありました。

誤報には民主党や社民党の野党系議員を「当確」とするものが多いようですね。なにか理由があるのでしょうか。

地方でも誤報はある

地方では2017年の岡山・備前市長選で現職が負けたことがありました。でも、山陽放送は開票開始直後に現職に当選確実をだしてしまったんですね。結果は・現職が負けて新人が勝ちました。山陽放送は出口調査の結果をもとに当確の放送を行ったようです。

出口調査といってもその程度の精度なんですね。

2017年都議選でも誤報は出るのでしょうか。

誤報を出したら責任をとわれることも

いちおう誤報があると社内では担当者が処分されることもあるらしいです。地方に転勤になったりすることもあるようです。

当確のゴーサインを出した責任者は当選が決まるまでヒヤヒヤしているそうです。でも会社としては他社よりも早く当確を出したい。というわけで。誤報はなくなりません。

当選が決まるのは選管の発表

いくらマスコミが当選と言ってもそれは「予想」です。決定ではありません。実際に当選の発表を行うのは選挙管理委員会です。開票率100%か、残りの票が全て対抗候補に入ってもその人が得票数で上回るときに当選の発表があります。

極端な例をいえば開票率60%でもA候補が全体の51%の票を集めていれば、未開票の40%全てをB候補が獲得してもA候補はB候補を上回ることが出来ます。その場合は開票率100%でなくても「当選」となります。

ですから選挙管理委員会が出した「当選」が正しいのですね。いくらマスコミが「当選」と放送しても、本当に当選したわけではありません。

 

総務省が注意・それでもなくらなない誤報

まだ決まっていないものを事実であるかのように報道するのは報道として正しいのでしょうか?「予想」にすぎないものを「決定事項」のように報道するのはウソをついていることにはならないのか疑問に思います。

マスコミはネット情報はフェイクニュースだと叩きます。でも選挙の誤報はいいのでしょうか?

誤報をハプニングですまされたら、誤報で喜んだ候補者はたまりません。騙す意図がなかったから問題ない。それですまされるのなら報道に正確さは期待できないことになります。

でも誤報が出るのはいつものこと。

こうなると当選確実の誤報もマスコミが作り出したフェイク(偽)の情報ですよね。「予想」を「決定」だとすること事態もフェイク(偽物)ですよね。本物の「当選」発表は選挙管理委員会だけが出せるのですから。

選挙があるたびに誤報が起きて、そのたびに総務省から「当選確実報道は慎重にするように」と注意されてるようです。今では注意されるのが当たり前になってるようです。でも民放連は報道に対する圧力だとして反発しているようです。

反発するよりも、誤報をなくすことにエネルギーを使ってほしいですね。

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