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セラミド:ヒト型・天然・合成?知ってるようで知らないその違い

このところセラミド入りの化粧品や健康食品のCMをよく見ます。セラミドは今、注目の成分なんですね。先日も妻がセラミド入りの化粧品を買ってきました。評判がいいので使ってみたいと思ったらしいです。

セラミドって一体何なのでしょうか。化学の研究をしていた自分としては、セラミドは「脂質(≒水に溶けない成分)の仲間」「細胞膜に含まれている成分」という理解でした。

それが最近になって、化粧品の成分として注目されているのです。

細胞膜の成分の何がすごいのでしょうか?

さらに、CMでよく言ってるヒト型セラミドっていったい何物なのでしょうか?

気になったのでセラミドについてくわしく調べてみました。ヒト型セラミドについて驚きの正体が分かりました。

 

目次

セラミドとは

化学的な意味

セラミドはスフィンゴ脂質と呼ばれる物質とよく紹介されています。脂質、つまり長鎖の脂肪酸を含んだ物のことです。これでは何のことやらわかりませんね。生物の中にある水に溶けにくい物質の仲間というくらいの意味でいいと思います。でも水に溶けやすい脂質もあります。

ちなみに、スフィンゴ脂質=セラミドではありません。スフィンゴ脂質のグループの中にセラミドが含まれているんです。

正式にはセラミドは「N-アシルスフィンゴシン」という化学物質です。

ちなみに化学物質とは「原子や分子でできた物」という意味なので、天然とか合成の区別はありません。

「アシル」とは、ある化学物質のグループを意味する言葉。実際には◯◯スフィンゴシンという物質が何種類もあります。◯◯の部分の違いでセラミド1,とかセラミド2とか呼ばれています。

 

セラミドの働き

セラミドは細胞の接着剤

セラミドは細胞膜の中に高い濃度であることが分かっています。

特に角質層には多く含まれています。

細胞と細胞をつなげる働きをしています。細胞と細胞の間に隙間があると、そこから水分が蒸発してしまいます。セラミドは皮膚の水分が逃げるのを防いでいるんです。保湿成分といわれるのはそのためです。

バリア機能

セラミドの働きで大切なのはバリア機能です。

細胞と細胞を隙間なくくっつけて、体内から水などの成分が逃げるのを防いでいます。

同時に、体の外から水やその他の成分が入ってくるのを防いでいます。セラミドが守ってくれているおかげで健康でいられるのですね。

セラミドは体の中から水などが外に出るのを防ぐと同時に、外から中に入るのも防いでいます。

ヒアルロン酸との違い

保湿成分と言うとヒアルロン酸などがあります。でも、ヒアルロン酸とセラミドは働きが違います。ヒアルロン酸は、ヒアルロン酸そのものが水を溜め込む性質があります。

でもセラミドには水を溜める能力はありません。細胞の中に溜め込んでいる水分が逃げるのを防いでいるのです。

結果的に保湿の働きをしていることになりますね。

新陳代謝にも必要

セラミドは細胞膜を作る成分以外にも役目はあります。

細胞を壊すときの合図としてセラミドが使われています。生化学の世界では「セラミドは細胞に死を宣告する」といわれることもあります。そう聞くと怖い感じがしますよね。

でも古い細胞を壊さないと、新しい細胞がつくれません。セラミドは新陳代謝の合図をする物質でもあるんです。

また、セラミドが不足するとアトピー性皮膚炎になることが分かっています。肌の水分が減って乾燥肌になるとアトピーになりやすいです。保湿の効果があるセラミドはアトピーになりにくくなるのでしょうね。

健康で若々しい肌には必要な成分だといえそうですね。

セラミドは吸収されにくい

セラミドは胃腸で吸収されにくい成分です。セラミド入りの食品やサプリを食べても、はっきりと分かる効果は確認されていません。

皮膚に塗った場合は、保湿効果があったという報告もあります。皮膚表面で膜のようなものを作るか角質層の中で水分が蒸発するのを防いでいるのでしょうね。

食べるよりは塗ったほうがいいのかもしれません。

ちなみに、セラミドというかほとんどの美容成分は角質層の奥には染み込みません。「奥にしみ込む」といっても角質層の中までです。

 

セラミドの種類

 

セラミドにはいくつかの種類があります。

ざっくりとした分け方をすると、合成セラミドと天然セラミドにわかれます。

合成セラミドはヒト型セラミド、疑似細胞間脂質。

天然セラミドは動物由来、植物由来。

に分かれます。

ヒト型セラミド(バイオセラミド)

名前:N-アシルスフィンゴシン

主に皮膚に含まれる成分。ヒトの皮膚にあるセラミドを元に作ったセラミドです。

俗にヒト型セラミドと呼ばれています。

バイオテクノロジー、要するに酵素発酵で作るのでバイオセラミドともいいます。

さらにこまかくセラミド1~12に分かれます(実際にはもっと多い)。2015年ごろからセラミドの名前が変わりました。セラミド1、2といった数字からセラミドEOP、NGといったアルファベットに変わりました。

ちなみにセラミド◯と付いてる数字の意味は発見された順番です。特に大きな意味はありません。

商品として売られているものは数字のものも多いようですね。

ヒト型セラミドと名前が付いてますが。実際には工場で合成されています。皮膚に含まれているのと同じ構造という意味です。

セラミド1(セラミドEOP)

正式名:N-フィトスフィンゴシン

セラミド1と呼ばれます。でもこれは古い呼び方。現在ではセラミドEOPといいます。

皮膚のバリア機能、細胞と細胞をつなぎ合わせる役目をします。

乾燥肌や老化のスキンケア商品に配合されています。

優れたバリア機能がありますが、とても高価です。

不足するとアトピーにになりやすいといわれます。

セラミド2(セラミドNG またはNS)

正式名:N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン

皮膚や毛髪のセラミドと同じ構造をした成分。セラミドの中でもとくに保湿力が高いです。

保湿剤として化粧品に配合されます。

酵母で生産できるのでよく使われます。

セラミド3(セラミドNP)

正式名:N-ステアロイルフィトスフィンゴシン

酵母から作った3型には3A型(N-リノレイルフィトスフィンゴシン)、3B型(N-オレロイルフィトスフィンゴシン)もありますが働きは同じです。

皮膚の保湿力、バリア機能を高める働きがあります。

外部の刺激から肌を守るために配合されます。

セラミド4(セラミドEOH)

角質層を維持する働きがあり、外部の刺激から肌を守ります。

需要がなく化粧品にはあまり使われません。

セラミド5(セラミドAS)

保湿力があります。

セラミド6(セラミドAP)

正式名:N-2-ヒドロキシステアロイルフィトスフィンゴシン

6Ⅱ型と書かれることもあります。セラミド3に似た働きをします。ターンオーバーを促進。皮膚を滑らかにする働きがあります。

セラミド7(セラミドAH)

細胞の増殖をコントロールします。皮膚の菌のバランスをとる働きがあります。

化粧品に使われるのは、セラミド1、2、3、6

特にセラミド2は保水力が高く、工場で生産できるのでよく使われます。

動物性セラミド

名前:セレブロシド

天然セラミドです。動物の脳、脊髄、筋肉に含まれている成分。動物セラミドと名前が付いてますが人間の体にもあります。

販売されている動物セラミドは家畜(主に馬)の動物の脳、脊髄などから抽出します。

肌に馴染みやすいのですが、あまりとれないため高価です。

動物の抽出エキスにはセレブロシドだけが含まれているわけではなく、セラミド1~7が含まれています。ヒト型セラミドと働きは同じです。

植物性セラミド

名前:コメヌカスフィンゴ糖脂質

コメ、トウモロコシ、大豆、コンニャク等から抽出した成分。天然セラミドです。

コンニャクから大量生産できるようになったので安価なセラミドは植物性セラミドの場合が多いです。肌への浸透性が高く刺激が少ないと言われます。

コンニャク由来はアレルギーになりにくいと言われています。

疑似セラミド

名称:セチルPGヒドロキシエチルパルミタミド

合成セラミドともいわれます。

ヒト型セラミド1を真似て化学反応で作ったセラミド。大量生産できるのでセラミドの中では一番安くできます。

細胞と細胞をつなげる働きがあり、バリア機能があります。セラミド1と同じ効果があります。

シャンプーや化粧品に配合されています。

 

セラミドにはそれぞのの特徴があるのです

セラミドには様々な種類があります。広告やネット上の意見を見ると、ヒト型だからいい、とか天然だからいい。といった意見が多いです。でも、イメージだけで判断されてる方が多いようなので残念に思います。

ヒト型セラミドは、人間に含まれるものと同じか似ているセラミドですが、売ってるセラミドは人間揺らいじゃありません。動物セラミドも人間の体には含まれています。植物性セラミドは刺激が少ないですし、疑似セラミドは安くてセラミドと似たような効果がでるのでコスパを優先する方には嬉しいものです。

肝心なのは、それぞれのセラミドにどのような特徴があるかなんですね。

 

ヒト型セラミドについても、意外と知られていない部分もあるようです。

ヒト型セラミドの正体・人間のセラミドじゃなかった

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