正社員と非正規社員のメリットデメリット

正規雇用になれば安泰、安心して働ける。と思う人が多いかもしれません。しかし本当にそうでしょうか?

総務省の調査によると、役員を除く雇用者に対する非正規雇用労働者の割合は平成28年には37.5%になりました。3人に1人が非正規雇用ということになります。平成26年の37.4%から横ばい状態が続いているとはいえ、3人に1人が非正規の状態は固定されたままといえます。ここでいう非正規雇用労働者とは、派遣、契約社員、嘱託、パート、アルバイトなどの人たちです。

これだけ非正規雇用が増えると正規雇用になりたかったのに非正規雇用になってしまった人も増えてきます。非正規ではなく正規雇用になりたいと考える人も増えています。

正規雇用のメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。

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正規雇用のメリット・デメリット

正規雇用者は収入が多い

現時点で正規雇用最大のメリットと言えるのが。賃金が高いことです。

厚生労働省の調査でも正規雇用と非正規雇用の時間当たりの賃金は大きく差が出ています。

表1. 1時間あたりの賃金

年齢(歳) 19まで 20~24 30~34 40~44 50~54
正規雇用(円) 1042 1253 1714 2088 2445
非正規雇用(円) 1027 1108 1288 1299 1312

 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より作成。
 数字は平成28年6月分の所定内給与額を労働時間で割った金額。

この結果を見ると19歳までの労働者では正規と非正規の差はほとんどありません。しかし30歳では明らかに差がついています50歳になると倍近い差になってしまいます。これは正規労働者が勤続年数とともに賃金が増えるのに対して、非正規労働者は年齢が高くなっても賃金が増えないからです。

現在の仕組みでは非正規労働者は何年働いても昇給は微々たるものです。歳とともに正規と非正規の差は大きくなります。

退職金にも差が出る

賃金だけの問題ではありません。正規雇用者には退職金の制度がありますが、非正規雇用社に退職金制度があるのは9.6%にすぎません。ほとんどの企業には非正規労働者には退職金がないのです。あったとしても、正規雇用者よりも低いのは確実です。退職金制度は賃金制度に連動していることが多いからです。

中堅企業でも定年まで働き続ければ1000万円、大企業になると2000万円という企業もあります。この金額があるのとないのとでは大きな差です。

同一賃金はすぐには実現されない

政府は同一労働同一賃金へ目指すと言っています。しかし30年50年先はともかく。現在の労働者が現役でいる間は実現しそうにありません。

小さいながらも様々な取り組みが行われ、正規と非正規の賃金の差は今より小さくなるかもしれません。でも非正規の賃金が数年後に正規と同じになるなんてことは絶対にありません。

企業が非正規雇用者を雇うメリットは人件費が安いからです。そのメリットがなくなったら非正規労働者を雇う必要がありません。

社内教育に差が出る

意外と見過ごされがちですが非正規のデメリットは賃金だけではありません。社内での教育を受けられないのです。「社内で教育?」どういうこと?と思う人もいるかもしれません。

企業は利益を上げるために優秀な社員を必要としています。社員の能力を上げるために社員を教育する必要があります。ど素人の新入社員を一人前の社員にするには教育が必要です。一人前になってもさらに高いレベルの仕事を求めます。管理職にあがったり、管理職になっても教育があります。研修だったり訓練だったりセミナーだったり表現は様々です。教育の一環として行ってることには違いありません。

「仕事をすれば自然に覚える」では本人も会社も育ちません。だから延びる会社ほど社員教育には熱心です。

ところが社員教育は正規雇用に対して行われるのが一般的です。非正規雇用にはあまり行いません。どうしてでしょうか?

企業は非正規雇用を使い捨てのできる労働力と考えているからです。忙しいときには人数を増やして、仕事がなくなると人数を減らす。正社員は一度雇ってしまえば簡単には解雇できません。絶対できないわけではありませんが、それなりに手間がかかります。でも非正規労働者は簡単に切り捨てることができます。

いつでも捨てられる労働者を訓練する意味はありません。仕事ができるレベルにまで引き上げたらあとは同じ仕事をさせるだけです。だから非正規労働者に教育を受けさせる企業は少ないのです。

非正規は雇用保険・健康保険に入れないは本当か?

非正規動労になると雇用保険、健康保険、厚生年金に入れない。と思ってる人が多いと思います。

確かに正規雇用者に比べると加入率は低いです。でも世間で言われているほど、ひどくない数字に思えます。どう思いますか?

表2. 保険の加入率

(%) 雇用保険 健康保険 厚生年金
正規雇用 92.5 99.3 99.1
非正規雇用 67.7 54.3 52.0

厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査 平成26年」より作成。

最近は非正規雇用でも雇用保険、健康保険に入れる場合が増えているのです。とくに大企業ほどその傾向が強いといいます。逆に中小では保険の加入が進んでいません。現在では非正規雇用でも大企業であれば雇用保険・健康保険が受けられる可能性が高くなっているのです。

仕事先を選ぶときに雇用保険、健康保険があるかどうかは聞くことができます。気を付ければ非正規でも「雇用保険がない」というデメリットを防ぐことができそうですね。

人件費を抑えたいと思惑はあるにしても会社で働いてもらうのですから、なにかあったときのために最低限のサポートはすべきですよね。逆に言うと非正規雇用社を雇用保険、健康保険に入れない企業はブラック企業の目安にしてもいいいいと思います。

出世できないのはメリットデメリットの両方の側面がある

社内で教育を受ける機会が与えられないということは。本人のキャリアを上げることができないということです。つまり出世できないということです。

非正規だからという理由だけで同じ仕事をやらされて、後から入社した若い社員が上司になってしまう。というのはよくあることです。企業が非正規社員に望むのは安価な労働力。将来を支える人材になってほしいとは思ってません。出世を望むのであれば正社員になるしかありません。

しかし出世することが必ずしもいいとは限りません。人件費が抑えられている現在。責任が増えるだけで収入はあまり上がらないという管理職もいます。むしろ労働組合のしっかりした企業であれば人件費削減は管理職から行う場合もあります。それでも賃金そのものは管理職になれば高いのが普通です。責任の重さに耐えられる人であれば出世はメリットになります。

逆に責任のある地位につきたくない人にとっては出世は必ずしもメリットとはいえません。今の世の中、ノルマがきつく上と下の板挟みになって苦労する管理職は多いです。

ところが非正規にもかかわらず責任者をさせる企業があります。アルバイトに店長をさせるのはその典型例です。外食産業、小売り業に見られます。非正規でも経験を積めば先輩になりますし、同じ職種の中ではリーダー的な役割をすることもあります。非正規のなかである程度の序列ができるのは仕方ありません。でも、店長など組織を管理する役割を任せるのであればそれなりの待遇を与えなければなりません。非正規雇用者に管理職をさせるのはブラック企業と考えて間違いありません。

一般的な企業では出世できるのは正規雇用者です。非正規雇用者は出世はできないが、責任ある立場をしなくて済む場合が多いのです。

自分の価値観に合わせてメリットデメリットを考える

こうしてみると正規雇用でいることのデメリットは経済的な面、将来性にありそうです。

非正規雇用は高収入は望めませんし出世もできません。雇用保険、健康保険は企業を選ぶときに気を付ければ選ぶことができます。その一方で、しがらみにとらわれない自由な生き方ができるのは非正規雇用です。正社員に比べれば簡単に辞めることができます。原則として転勤もありません(部門の統廃合による移動はあるかもしれませんが)。

経済的な安心と自由度の高さ。どちらを優先するかで選択肢も変わってきます。

とはいっても経済的な面を優先する人は多いと思います。非正規雇用の問題を議論するときも金銭面だけで語られることが多いです。将来的には多少は差が縮まるでしょう。でも、経済的に有利なのは正規雇用者に間違いありません。

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