クローズアップ現代「蔓延する隠れブラック企業」うわべだけホワイトの企業が危ない

ローズアップ現代で「蔓延する隠れブラック企業」が放送されました。

表向きはホワイト企業を装いながら裏では長時間勤務や残業代の不払いを行ってる会社の例が紹介されました。経営陣は命令していなくても間接的に社員を長時間労働に追い込んでいるという実態。

会社の制度を整えて長時間勤務を防いでいるようにみえても、働く現場では長時間労働が当たり前になっている。そんな隠れブラック企業が増えているようなのです。

番組内では解決策までは踏み込んでいませんが、日本社会の問題点が浮かび上がってくるような内容でした。

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ブラック企業対策チーム「かとく」に密着

過重労働撲滅特別対策班がブラック企業の調査を行う様子が紹介されました。通称「かとく」と呼ばれるこのチームは2015年4月に設立されたばかりの新しい組織です。かとくは東京と大阪の労働局にあります。大企業を対象に調査を行っており、今までに5社(エービーシマート、ドン・キホーテ、フジフードシステム、サトレストランシステムズ、コノミヤ)の強制捜査を行いました。また電通の臨検監督も行ってるそうです。

番組で紹介されたのは「かとく」がサトレストランシステムズに調査を行った時の様子でした。

ズルはあかんと言いながら

サトは実働8時間、完全週休二日制を表に出して過重労働はおこりえないとしてきました。かつてサトの重里社長は「業態もしっかり、安全問題もきちっと、労働環境もきっと整えるズはあかん」とインタビューで答えていました。

しかしそんな会社でも裏では長時間労働が当たり前になっていたんですね。

かとく従業員1万人の勤務記録を調べた結果、次のような実態が明らかになりました。

長時間労働を隠す方法

さとでは手書きの勤務記録と、デジタルの勤務記録があるそうです。

ある社員の記録では手書きの勤務記録では一日2時間ずつ残業して月間で30時間の残業時間となっていました。ところが、デジタル記録では68時間38分の残業時間があることになってました。会社は手書きが正式なものだとして30時間分の残業代しか払っていませんでした。

ある社員の記録ではデジタル記録にも信憑性が疑われました。記録では昼の12時ごろに出勤になっています。外食産業では一番忙しい時間帯なのに途中から出勤するのは不自然ですよね。そこでかとくはその従業員の交通ICカードの記録を調べると、朝7:30人に会社の最寄り駅を出た記録が見つかりました。

7:36に店のカギを開けた記録も見つかりました。朝の8時前には出勤していたのに12時を越えて出勤していることになってました。もちろん空白の4時間は残業代は支払われていません。

現場に責任を丸投げする経営陣

現場の店舗ではこのような働き方が当たり前になっていたようです。店員が実態よりも残業代が少ないと言うと。店長は「上から命令されたんじゃない、俺の判断でやってるんだ。恨むなら俺を恨め」と店員に言ったそうです。店員は飲食業界はこういうものなんだと、諦めるしかなかったようです。

かとくの調査では経営陣が命令したという証拠は見つかりませんでした。各店舗の判断で長時間労働を行っていたようです。結局、サトの件では店長4人と部長クラスが書類送検されました。

うわべはホワイト、実態はブラック=隠れブラック

本社や経営陣が知らない間に現場で長時間労働、残業代の不払いが横行してる会社が増えているようなんです。

外向けには長時間労働を制限して、休暇を取りやすい制度を作ったとアピール。一見するとホワイト企業に見える会社も、実態ではそれが守られていないブラック企業だった。番組ではそれを「隠れブラック企業」と位置づけています。

リーマンショック以降、長時間労働が問題になり。ブラック企業という言葉が流行りました。企業はイメージの悪化を避けるため、長時間労働をしないように制度を作るところも出てきました。

しかし人件費の抑制は進みます。コストカットの名のもとで少ない人数でできるだけ多くの仕事をやらせるようになりました。その結果、働く現場では長時間労働が日常的になりました。

かとくの捜査であきらかになったのはこのような問題があることでした。

・経営陣や本社は組織の末端の勤務状態まで把握できていない。
・現場の判断で長時間労働、サービス残業が横行している。

直接命令しなくても過重労働をあてにしている経営者

サトの件では経営陣が命令したという証拠は出ていません。他の企業でも本社や経営陣が命令していないのに現場で長時間労働が起きているようです。

だからと言って会社に責任がないとは、言えません。会社は人手やコストを抑え、ノルマを押し付けます。そうなると現場では自分たちでやりくりしないとやっていけないのです。

番組内では経営陣は命令していないといいつつも少ない人数でやりくりすることを「あてにしている」と指摘していました。

これでは働くものとしてはたまりません。過労死しても「会社は命令していない。社員が勝手にやった」といわれてしまいそうです。

社員の意識にも問題が

問題は経営陣だけではありません。社員の側にも長時間労働が増える原因があるようです。

番組内では自ら長時間労働する社員を次のように分類していました。

長時間労働する社員の例
1.自分がしないと職場がまわらないと思ってる人・・過剰責任型
2.仕事が苦にならない人・・・・・・・・・・・・・仕事中毒型
3.昇進や評価が(異常に)気になる人・・・・・・・過剰野心型
4.ローンや生活費のため・・・・・・・・・・・・・残業代目当て型

このうち、4の人は残業代が出ないと自ら働こうとはしませんが。1~3までが自発的にサービス残業する人になります。

番組内では長時間労働の末にうつ病になって6年間治療している人が証言していましたが。その人も自分がやらないといけないと思い込んで、寝る時間がないほど働いたそうです。「自分がうつ病になるはずがない」と思い込んでた。そしてある日、体が動かなくなって自分が病んでることに気が付いたそうです。

「自分がうつ病になるはずない。仕事しなくちゃいけないんだ」と思ってる人でもうつ病になってしまうんですね。

本人だけではすまされない

さらに問題なのは自発的に長時間残業する人が職場にいると周りにまで影響が出ること。自分が働くだけじゃなくて、他の人にも長時間労働を強制してしまう・・・

しかもそんな人が上司や管理職、幹部になると問題は大きくなります。自分は長時間労働して出世した。会社が大きくなった。という成功体験がある人はさらに厄介です。下のものにまで長時間労働を押し付けるからです。

「100時間で過労死なんて情けない」なんて言ってる人は典型的な例ですよね。

自己犠牲で働いて会社の役に立つのが日本企業の美徳になってるように思えました。

番組内では「滅びの美学」と言ってましたが、うまい表現だと思います。「個人がダメになると、会社がダメになる、会社がダメになると国がダメになる」と警告しています。個人の問題ではなく社会全体の問題になってしまうんですね。

一企業だけで解決できる問題ではなくなってきてる?

長時間労働をふせぐために番組内でもいくつかの事例が紹介されていました。でも有効な方法はないみたいです。制度だけの問題ではいくら対策しても抜け道があるんですね。

それに一企業だけが取り組んでも不十分です。ある企業が深夜残業を減らしても、発注元がほかの企業に発注してしまう。そうなると結局「長時間労働してる方が会社にとっては得だよね」となってしまいます。いつまでたっても犠牲になる社員はなくなりません。電通の労働組合は業界全体で取り組むべきと主張してるようです。

解決策は出ませんが、問題提起にはなったかも

番組は業界全体で取り組む必要があるという指摘で終わりました。

長時間勤務やサービス残業はいち企業だけじゃなく社会全体の大きな問題のように思えます。薄利多売でしか利益を産みだせない企業の体質。企業や店に過剰なサービスや値引きを求める取引先や顧客の考え方。様々なものが絡み合ってるように思えます。

番組そのものは消化不良の感じがしました。でも、30分という短い時間で現在の日本企業の問題点が紹介されて、日本社会の問題点が凝縮されているように思えました。

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